【後編】新型コロナ禍の首相会見 「記者クラブ」は正しく機能しているのか

新型コロナウイルス感染拡大により、目にする機会が増えた安倍首相による記者会見。その首相に対して質問を向ける「内閣記者会」のあり方について問い直す機会ともなりました。官邸取材の長いフリーランスライター小川裕夫さんがリポートします。


「次の予定がある」打ち切られた会見

 新型コロナウイルスという未知なる病気との戦いには、国民の誰もが不安を抱えています。あれこれ聞きたいというのが当然です。首相は、政府はどういう対応をしているのか? 知りたいこと、聞きたいことは山ほどあります。

 そのため、2月29日の記者会見では、その場にいた記者たちから質問を求める挙手が相次ぎました。

 しかし、首相会見は40分足らずで強制的に終了。冒頭の首相発言を含めると、記者たちの質問時間はごくわずかしかありませんでした。そのうちの半分は首相の答弁に充てられるわけですから、質問できる時間は実質的にその半分に限られます。

 こんな短時間では、満足の行く質問はできません。それにも関わらず、「次の予定がある」という理由で首相会見は打ち切られました。

 会見を終えた首相は壇上から降り、会見室から退出します。その際、挙手をしていながらも質問することができなかったジャーナリストの江川紹子さんが「まだ、質問があります」と食い下がりました。

官邸会見室での会見を終えて、退出準備を始める安倍首相。手にした原稿には付箋が貼ってあり、事前に質問を知り、答えを準備していたことがうかがえる(画像:小川裕夫)

 しかし、江川さんの声は会見室にむなしく響くばかりで、安倍首相はそのまま退出しています。

 新聞各紙が伝えた首相動静によると、安倍首相のその後の予定は特になく、「私邸へと帰り、来客もなく過ごした」となっています。首相会見を強制的に終了する必然性はなく、時間的にも首相会見の延長は十分に可能だったのです。

 こうした消化不良が、2日後の国会でも取り上げられたのです。蓮舫議員の質問に対して、安倍晋三首相は「いつも総理会見においては、ある程度のやり取りについて、あらかじめ質問をいただいているところでございますが、その中で、誰にお答えさせていただくかということについては、司会を務める広報官のほうで、責任を持って対応しているところであります」と答弁。

 安倍首相の答弁は、首相と内閣記者会とが事前にやり取りした結果の内容であることを暴露するものでした。これまでは公然の秘密だった内閣記者会と首相の「茶番劇」を認めてしまったのです。

少しずつ是正された「なれ合い」


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