外出自粛で大注目 スマホゲームが勝てない「アナログゲーム」独自の魅力とは

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外出自粛で大注目 スマホゲームが勝てない「アナログゲーム」独自の魅力とは

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中村圭

文殊リサーチワークス・リサーチャー&プランナー

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新型コロナウイルス感染による外出自粛で、室内でも楽しめるアナログゲームの販売が伸びています。アナログゲームにあって、スマホゲームにない魅力とは? 文殊リサーチワークス・リサーチャー&プランナーの中村圭さんが解説します。

アナログゲームの消費拡大

 新型コロナウイルス感染による外出自粛が長期化し、家で過ごすための余暇消費が拡大しています。

 その最たるものが動画配信サービスで、サービス各社は人気コンテンツを投入し、プロモーションを強化。この機会に見そこなった映画を見たり、シリーズものを一気に見たりした人も少なくないでしょう。

 一方、量販店では子どもや家族が家で遊べるプラモデルやアナログゲームの販売が伸びています。また、中高年の女性はガーデニングの関連商品を購入する人が増えています。

ボードゲームのルーレットのイメージ(画像:写真AC)



 今の状況はいわゆる「巣ごもり消費」と言えますが、この言葉は、2008(平成20)年から2009年までに起きたリーマンショックによる景気後退時に一般に言われ始めました。若者の雇用環境が急激に悪化したことへの、生活防衛策のひとつなのです。

 巣ごもり消費の意味するところは、生活のダウンサイジングです。例えばレストランでの外食をやめてデパ地下の高級な洋風総菜を自宅で食べるなど、巣ごもりすることで満足度をある程度維持しながら支出を抑える、と言ったことです。

今回の変化の中心はファミリー

 しかし、今回はそれとは様相が異なります。今回の変化の中心はファミリーです。

室内で遊ぶ親子のイメージ(画像:写真AC)

 突然の臨時休校で子どもが在宅、そのため母親が仕事を休んで、場合によっては父親もテレワークで自宅待機。少なくとも週末は家族全員ができるだけ家で待機しなくてはいけません。

 一同に顔を合わせる時間が普段は少ない家族も、強制的に一緒にいるような状況となりました。難局を乗り越えるために家族みんなで相談しあったところもあるでしょう。

 そのようななか、今回は希薄になりがちだった家族のコミュニケーションを活発化させるアナログゲームについて見ていきましょう。

種類が多いことも特徴

 アナログゲームとは電源を使用しないゲーム全般を表しており、テレビゲームやスマートフォンアプリとは対極にあるゲームを指します。

 アナログゲームにはさまざまなカテゴリーがありますが、今は一般的になじみのあるボードゲームやカードゲーム(トレーディングカードゲームはゲーム構造が異なるため、ここでは含まない)が多く購入されています。

1968年から発売されているボードゲームの定番「人生ゲーム」(画像:タカラトミー)



 特に親世代が若いころによく遊んだ「人生ゲーム」などが人気です。アナログゲームは種類が多いことも特徴で、他のゲームも紹介しましょう。

無人島で開拓を競争するゲーム

 ポピュラーなものでは「カタンの開拓者たち」(スタンダード版。製造元:KOSMOS社、日本語版販売:ジーピー、プレイ人数3~4人、対象年齢8歳以上、3800円〈税抜き〉)があります。

「カタンの開拓者たち」(画像:ジーピー)

「カタンの開拓者たち」はドイツのボードゲームで、カタン島と呼ばれる無人島で開拓競争をするゲーム。対戦相手と資源の交易をするなど、戦略性が高いことが特徴です。

 近年では人気海外ドラマとコラボした「カタン ゲーム・オブ・スローンズ版」(日本語版販売:ジーピー、プレイ人数3~4人、8900円〈税抜き〉)も出ています。ドラマに出てくる冥府の守人「ナイツウォッチ」となり、攻めてくる野人から領土を守る設定で、動画配信サービスでドラマを一気見した後に遊んだら面白いかもしれません。

ウイルスの撲滅を目指すゲーム

 今回の新型コロナウイルス感染拡大が始まる以前に開発・販売された「パンデミック:新たなる試練」(製造元:Z-MAN Games、日本語版販売:ホビージャパン、プレイ人数2~4人、対象年齢8歳以上、4000円〈税抜き〉)というゲームもあります。

「パンデミック:新たなる試練」(画像:ホビージャパン)

 プレーヤーは科学者や衛生兵、検疫官など別々に特殊技能を持ったエキスパートになり、ウイルス拡散を防止したり、ワクチンの開発を行ったりして、ウイルスの撲滅を目指します。みんなが協力し合わなければ感染を抑えることができず、今思えばさまざまな示唆に富んでいるゲームと言えるでしょう。

言葉やジェスチャーを使ったカードゲーム

 一方、カードゲームでは言葉やジェスチャーを使ったものがシンプルに盛り上がることができておすすめです。

「ナンジャモンジャ(シロ)」と「ワードバスケット」(画像:すごろくや、メビウスゲームズ)



「ナンジャモンジャ(シロ・ミドリ)」(日本版販売:すごろくや、プレイ人数2~6人、対象年齢4歳以上、各1300円〈税抜き〉)はカードに書かれた生き物(ナンジャモンジャ)に名前を付けて名前を呼ぶゲームで、記憶力と反射神経が問われます。

 また「ワードバスケット」(販売:メビウスゲームズ、プレイ人数2~8人、対象年齢10歳以上、1364円〈税抜き〉)はバスケットに置いたカードの文字を最初の文字、手持ちのカードの文字を最後の文字になるよう言葉をつくるゲームです。しりとりゲームの変形とも言え、意外と難しく、幅広い世代で楽しめます。

 カードゲームはおおむね1000円~2000円程度の価格であり、サイズもコンパクトなため、パッケージの印象でいくつか購入して試してみるのもありでしょう。

家族の知らなかった一面を見つけられるかも

 テレビゲームでも家族で十分に楽しむことができますが、アナログゲームはテレビゲームやスマートフォンアプリなどにない特性があります。対面でリアルなコミュニケーションをとって遊ぶもので、シンプルでも奥ゆきのあるゲーム性があります。

アナログゲームでコミュニケーションを行うイメージ(画像:写真AC)

 自分の戦略を成功させるために相手の顔色や言動、しぐさを観察し、積極的にお互いを知ろうとします。そのためコミュニケーションがより活発になると言えるでしょう。アナログゲームは会社の研修やコミュニケーションの苦手な人への活用も研究されています。

 また、能力差が出にくい特徴もあります。ダイスの出目やカードの引きなど運の要素が強く、老若男女、経験の有無を問わず、家族全員が同じようなスタンスで楽しむことができます。

 今は春の行楽シーズンであり、本来ならば週末は家族で観光地やレジャー施設などに行くところでしょうが、そのような場所では意外と親子で面と向かって会話する機会は少なかったりします。

 アナログゲームによって家族のコミュニケーションが深まり、家族の知らなかった一面を見つけることができるかもしれません。

自分で作る楽しさも

 また、アナログゲームには作る楽しさもあります。

 プログラミングなど特別なスキルは必要ありません。実際、趣味で自作する人もおり、商品化や賞金付きのコンテストもあります。親子でアイデアを出し合い、ルールを決めて、ボードやカードを段ボールや画用紙で自作するのも楽しいでしょう。

自作用の画用紙のイメージ(画像:写真AC)



 一から作るのが大変な人は既存のゲームのルールを使用して拡張版を作ったり、好きなSFやファンタジーのストーリーを利用して改訂版を作ったりするのも良いでしょう。手持ちのプラモデルやぬいぐるみを駒として総動員してストーリーを作り、対戦ゲームやミッションクリア系ゲームにするのも面白いかもしれません。

 アナログゲームで、家族の新しい楽しみをぜひ増やしてみてください。

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