職・住・遊・食の全てを完結――25日開業・ウィズ原宿は「旧駅舎ロス」を癒せるか?

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職・住・遊・食の全てを完結――25日開業・ウィズ原宿は「旧駅舎ロス」を癒せるか?

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若杉優貴

都市商業研究所

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3月21日にリニューアルしたJR原宿駅に加え、駅周辺の風景も次々とその姿を変えています。都市商業研究所の若杉優貴さんが解説します。

木造駅舎との別れは寂しいけれど……

 約3年間にわたる「大改造」を終え、2020年3月21日(土)にリニューアルオープンを迎えたJR原宿駅。

 ガラス張りとなった新駅舎には高級コーヒーチェーンの「猿田彦珈琲」とJR東日本のコンビニ「NewDays」が出店。どちらも原宿駅限定アイテムを販売しているとあって、多くの観光客などでにぎわいを見せています。

 しかし、生まれ変わるのは原宿駅だけではありません。原宿駅前でも駅舎のリニューアルに合わせていくつもの大型施設が誕生しているのです。

 これまでの小さな木造の旧駅舎との別れは寂しいですが、今回は「原宿駅から徒歩1分以内」のニュースポットたちを紹介していきます。

所在地はかつてのコクド本社跡地

 まず原宿駅を降りて目に入るのが、駅から神宮橋を挟んで向かいにできた大型ビジョンが目を引く商業施設「jing(ジング)」(渋谷区神宮前6)です。

4月25日に開業する複合ビル「ウィズ原宿」。都心初となるIKEAが出店するほか、高層階には高級レジデンスも(画像:都市商業研究所)



 ジングは2019年春に開業。運営を行っているのは、広告代理店「電通」と「サニーサイドアップ」です。ちなみに、ここはかつて旧・西武セゾングループの中核企業だった「コクド」(旧・国土開発)の本社があった場所にあたります。

高級ブランドからタピオカまで

 ジングの建物は2階建てで、館内にはパナソニックグループが「くらしサービス・共創の場」と位置付ける新拠点「& Panasonic(アンド パナソニック)」が出店しているほか、大部分が大型の多目的イベントスペースとして使われています。

 ここには2019年、高級ブランド「ルイ・ヴィトン」のポップアップショップからタピオカブームを追い風に誕生した「東京タピオカランド」まで、さまざまな業態の「期間限定店舗」が出店しており、大きな話題を呼びました。

 イベントスペースということもあり、残念ながら最近は感染症予防のため閉館していることも多いようです。しかし、「原宿駅から徒歩1分」「オリンピック会場となる代々木体育館からもすぐ」という好立地だけに、今後も個性的な「期間限定店舗」たちが生まれることになるでしょう。

建物の全部がアットコスメ

 続いて紹介するのが、旧駅舎がある原宿駅東口の真正面に2020年1月10日(金)に開店した、化粧品口コミサイト「@cosme(アットコスメ)」の旗艦店「@cosme TOKYO(アットコスメ・トーキョー)」(同区神宮前1)です。

原宿駅の向かいにオープンした「@cosme TOKYO」。館内全てがアットコスメの店舗で、売り場面積はなんと約1300平方メートル(画像:都市商業研究所)



 アットコスメが出店したのは、2019年5月に閉店した「GAPフラッグシップ原宿」の跡です。

 これまでのアットコスメはネット販売を主体としてファッションビルや駅ビルなどに小規模な実店舗を展開していましたが、アットコスメ・トーキョーはそのイメージを覆す大型店。アットコスメが商業ビル内のテナントではない路面店(単独店)を出店するのも初のことです。

街に出る前に化粧直しができる

 館内に入るとまず目に入るのが、「ベストコスメアワード」の商品が陳列されたタワー。そのほか、アットコスメ最大となる広い売り場面積を生かし、店内には数多くの化粧品を試すことができる「テスターバー」や、芸能人やモデルを起用したライブ配信が行えるスペース「@STUDIO」、会員制のイベントスペースなども設けられています。

建物はデジタルサイネージで覆われています。エントランスに見えるのはベストコスメアワードのコスメたちでできたタワー(画像:都市商業研究所)

 駅からは横断歩道を渡ってすぐの場所。駅を降りたら街に出る前にテスターバーで化粧直しをしつつ、お気に入りのコスメを探す……といった使い方もできます。

施設内に道が設けられた作りに

 そして、アットコスメの隣で4月25日(土)の開業を目指して準備が進められている大きな建物が話題の「WITH HARAJUKU(ウィズ原宿)」(同区神宮前1)です。

 ウィズ原宿は「原宿アパートメンツ」「原宿第一マンションズ」などの跡地を再開発して誕生する複合ビルで、地上10階・地下3階建て。コンセプトは「未来を紡ぐ“たまり場”」で、NTTグループの不動産デベロッパー「NTT都市開発」(千代田区外神田)が運営します。

新駅舎の向かい、デジタルサイネージが印象的な「jing」。「東京タピオカランドがあった場所」といえば「あ~」となる読者もいるはず(画像:都市商業研究所)



 ウィズ原宿の1番の特徴は「館内に道が設けられる」ということ。原宿駅からウィズ原宿に入り、ウインドーショッピングをしながらパッサージュ「WITH HARAJUKU STREET」を抜けて竹下通りへと向かうことが可能となるため、「駅周辺の混雑回避」にも一役買うことになります。

都心初「IKEA」やコワークスペースも入店

 そして、ウィズ原宿のもうひとつの大きな特徴が、館内で「職・住・遊・食の全てを完結させることもできる」ということです。

 館内のうち、商業ゾーンは地上1階~地下2階から3階と8階の一部で、核テナントとして1階と2階に北欧スウェーデン発祥の家具・インテリア大手「IKEA(イケア)」の東京都心初となる店舗(約2500平方メートル)が出店。開放的な空間で、スウェーデンの味を手軽に楽しめるカフェも併設されます。

 そのほかの商業テナントとしては台湾茶スタンド「THE ALLEY(ジ アレイ)」の新業態店舗(地下2階)、カフェ併設のアウトドア用品店「Snow Peak(スノーピーク)」の新業態店舗(地下1階)、原宿再出店となるファストファッション「ユニクロ」(地下1階・1階)、夜22時半まで営業するラウンジや室料5000円の特別個室も設けられる「資生堂パーラー」の新業態店舗(8階)などが。

 さらに、3階には300席規模の多目的イベントホール「WITH HARAJUKU HALL」、や会員制コワーキング・シェアスペース「LIFORK(リフォーク)原宿」、屋外公園「WITH HARAJUKU PARK」などが設けられます。

「ウィズ原宿」の館内構成(公式ウェブサイトより)。誰でも利用できる屋外テラスも設けられる(画像:NTT都市開発)

 そして、4階から10階までは賃貸レジデンス「WITH HARAJUKU RESIDENCE(ウィズ原宿レジデンス)」となります。レジデンス部分は3月下旬から現地内覧会も行っているます。ちなみに家賃は月額20万円台から。100万円以上までの部屋もあるということです。

鳥居が駅前に 近くなった明治神宮

 最後に紹介するのは、2020年創建100年を迎える明治神宮。

 実は明治神宮も約4年にわたる社殿の修復を終え、2019年12月19日(木)に御社殿群修復工事竣功奉告式が行われたばかりなのです。

明治神宮の境内から原宿駅方面に抜ける神門。明治神宮といえば緑の銅屋根を思い出す人も多い。葺(ふ)き替えられたばかりの銅屋根が茶色く光る姿が見られるのは今だけ(画像:都市商業研究所)



 JR原宿駅では、駅舎建て替えに合わせて新たに「西口」が設けられており、駅出口のすぐ目の前に明治神宮の一の鳥居を見ることができるようになりました。

 新しくなった原宿駅で下車したら、まずは新しくできた西口から出てピカピカの社殿にお参りしてみてはどうでしょうか。

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