カレーマニアがあえて今「黄色いカレー」に注目するワケ
2020年3月8日
ライフ近年、華やかにデコレーションされたスパイスカレーがブームです。その一方で、オーソドックスな「黄色いカレー」がひそかに支持を集めていると言います。いったいなぜでしょうか。カレー研究家の小野員裕さんが解説します。
味の「突出」ではなく「バランス感」
池袋にほど近い要町にある「可祢井(かねい)そば」(豊島区千早)もひそかな人気店です。
まるで家のカレーをほうふつとさせる絵姿ですが、一口食べると「ああうまいな~」と思わずとため息が漏れます。
具の野菜の歯ごたえが生きていて、軽やかなうま味。何かが突出しているわけではないですが、すべてのバランスが取れています。ここはラーメンもおいしいので、恐らくそのスープで作っているのではないかと考えられます。
とにかく一週間ぶっ通しでも食べ続けることができる、そんな味わいです。食後にコーヒーとデザートのサービスもありがたいです。

続いては「珉珉」(港区赤坂)。昼夜問わず、いつも満席の人気店です。
名物はギョーザとニンニクたっぷりの「ドラゴンチャーハン」ですが、もうひとつの名物が「ナスカレー丼」です。
下味を付けた鶏のささみとナスをサッと油通ししたあと、スープ、カレー粉、ミルクなどで味付けし、片栗でとろみを付けています。ナスは滑らかな歯触りで、鶏肉はシットリ・サッパリとしながら奥深いうま味。病みつきのおいしさです。
芸能人御用達の店も
「香妃園」(同区六本木)は、芸能人もよく利用する中国料理屋です。
ここは、「加哩肉飯」という中華風のカレーが名物。具は肉と玉ねぎ、余計な小細工がされていない絵姿で、一口味わうとその柔らかなおいしさにウットリさせられます。カレーの風味、うま味、トロミ加減がドンピシャで、余計な小細工がされていない潔い味わいです。

そのほかにも、江戸川橋の「キッチンタロー」(新宿区西五軒町)は安心のおいしさ。外苑前の立ち食いそば「信越そば」(港区北青山。閉業)のカレー丼も実に美味でした。
黄色いカレーは全国にもちらほらあり、特に沖縄には黄色いカレーが数多く見かけられます。「ハイウェイ食堂」(那覇市)や「みどりや食堂」(宜野湾市)などなど。
また、マニアの注目を集めているのが新潟県のバスセンターにある「名物万代そば」(新潟市)のカレー。生卵を落として食べると実に美味です。
かつて日本のいたるところにあった黄色いカレーですが、いまは風前のともしびです。
若い世代の人たちで、この黄色いカレーの「何気ないおいしさ」に気づく人たちが出てくるかもしれません。そして、黄色いカレー専門店をオープンさせたら面白いですね。
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