原宿の超一等地「神宮前交差点」で再開発 創業約100年の老舗も閉店、今後どうなる?

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原宿の超一等地「神宮前交差点」で再開発 創業約100年の老舗も閉店、今後どうなる?

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若杉優貴

都市商業研究所

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若者たちでにぎわう原宿。その中心地と言える原宿・神宮前交差点で今後計画されている再開発について、都市商業研究所の若杉優貴さんが解説します。

交差点は「十字路」に

 各地で再開発が続いている渋谷区内。原宿・神宮前交差点でも新たな動きが始まります。

 交差点の形状変更を伴う大型再開発。果たしてどういった形になるのでしょうか。

間もなく大型再開発が開始される神宮前交差点。撮影は着工前の2016年(画像:若杉優貴)



 今回再開発が行われるのは、原宿・神宮前交差点の南西側(神宮前6丁目の一部)の3085平方メートルのエリアです。

 この場所には、大型複合ビル「オリンピアアネックス」(渋谷区神宮前)があり、下層階にはアパレルブランド「ラコステ」の旗艦店が出店。

 近隣には多くの小型店舗が立ち並び、コンドーム専門店「コンドマニア」などが出店していました。

 しかし2020年2月現在、そのほとんどが閉店・移転済みとなっており、一部の小型店舗については既に解体されています。

再開発の目的とは

 今回の再開発の大きな目的は、

・狭い街路
・複雑な交差点
・老朽化した建物

を解消することです。

 これまでの神宮前交差点は、今回の再開発地区にある、狭い一方通行街路「区道630号線」を合わせた変形五叉路となっていました。

 この「区道630号線」は大型車の通行が難しく、防災上にも不安がありました。

新ビルの建設計画。変形五叉路の場所が記載。地下鉄出入り口も設けられる(画像:渋谷区まちづくり課)

 今回の再開発ではこの「区道630号線」を廃止し、交差点を単純な十字路へと変更します。

 これは、交通渋滞の緩和や事故防止に寄与することにつながります。

 さらに、合わせて再開発地区の西側に新たな街路を通すほか、明治通り(区道630号線)の歩道拡幅も行われるため、歩行者にとっても安心・安全に買い物できる道路環境が整備されると言えるでしょう。

東急不動産が商業ビル建設へ

 ここで気になるのは、「再開発後にどういった建物が建設されるのか?」ということ。

 今回の再開発の主体となるのは、東急不動産(渋谷区道玄坂)です。

再開発の完成予想図(画像:東急不動産)



 新たに建設されるビルは、地下3階~地上10階、延べ床面積1万9890平方メートル。

 完成は2022年度を目指しており、主に商業ビルとして活用されるほか、防災機能、屋上広場も備えられる計画です。

 東急グループは現在、原宿エリアで

・東急プラザ表参道原宿(神宮前4)
・キュープラザ原宿(同6)

の運営を行っています。

 そのため、これら既存商業施設とのコラボレーションセールなども期待できそうです。

あの「老舗」も閉店に

 さて、この再開発により惜しまれつつ閉店となってしまった老舗もあります。それは、あの有名洋菓子店コロンバンの本店である「コロンバン原宿本店サロン」です。

コロンバン原宿本店サロンの外観。2019年6月撮影(画像:(C)Google)

 コロンバンは1924(大正13)年に「東京初のフランス菓子専門店」として大田区大森で創業。

 1951(昭和26)年には東急側の熱心な誘致により、「東横のれん街」に出店するなど販路を広げ、東京を代表する銘菓のひとつとなりました。

 現在のコロンバン原宿本店サロンの建物は、1967(昭和42)年に完成。

 同店は屋上で養蜂を行っており、採取した蜂蜜を「原宿はちみつ」として菓子などに活用していることでも知られています。

屋上にいたみつばちの今後は?

 コロンバン原宿本店サロンでは閉店を迎えた2月16日(日)に記念式典が実施され、長年親しんだ店舗の最後を見ようと、多くの人が詰めかけました。

 コロンバンは原宿の別の場所で当面営業を行う計画で、神宮前交差点に再出店するかどうかなどについては、今後発表するとしています。

コロンバン本店とオリンピアアネックス。2020年3月より解体工事が開始される予定だという(画像:若杉優貴)



 心配なのが、屋上にいたみつばちと「原宿はちみつ」の行方です。

 実は、コロンバンは原宿から徒歩圏の渋谷区神南1丁目に「渋谷コロンバンビル」を所有しており、こちらでも養蜂が行われています。

 今後、原宿本店の屋上にいたみつばちは神南の店舗に移される予定だということで、これからも「原宿はちみつ」の味は守り継がれていくことになりそうです。

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