1991年の追憶 なぜ『東京ラブストーリー』の赤名リカは、明るく真っすぐなキャラだったのか?

約30年前に一世を風靡した月9ドラマ『東京ラブストーリー』について、社会学者で著述家の太田省一さんが時代背景を含め、解説します。


ドラマにおける「切なさ」の時代の始まり

 実は原作となった柴門ふみの同名漫画では、主人公はリカではなくさとみでした。さとみは清楚(せいそ)で控えめな、いかにも古典的なヒロインタイプ。それをドラマ化にあたってリカに変えたのです。そこにはプロデューサー・大多亮をはじめとしたスタッフの、ドラマのプロならではの勘のさえがうかがえます。

コミック『東京ラブストーリー』(画像:(C)柴門ふみ/小学館)

 またもうひとつのポイントは、ハッピーエンドの物語ではなかったことです。リカとカンチは付き合うようになるのですが、最終的には別々の人生を歩み始めます。3年ぶりにふたりが街で偶然再会する最終回のシーンは、それを象徴するものです。

 それは、ドラマにおける「切なさ」の時代の始まりでした。嫌いになったわけでもないのにカンチと別れなければならなくなったリカ。それでも悲しみを乗り越えて次の一歩を踏み出そうとします。

自分の意思をはっきり表明する女性像

 その切なくもけなげな姿に私たち視聴者は涙を誘われました。小田和正による主題歌「ラブ・ストーリーは突然に」の売り上げ200万枚を超える大ヒットも、そのような「切なさ」を求める私たちの心の琴線にふれたからという面があるでしょう。

『東京ラブストーリー』の主題歌、小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」(画像:(P)1991 Ariola Japan、Sony Music Labels Inc.)

 それまでのトレンディードラマ黎明(れいめい)期の月9は、基本的におしゃれな若者たちが恋愛ゲームを謳歌(おうか)するようなものでした。ところが『東京ラブストーリー』では、別れを乗り越えて生き抜こうとする若者、とりわけ女性の姿が前面に出ています。

 そんな『東京ラブストーリー』の成功は、月9のターニングポイントになりました。例えば、『101回目のプロポーズ』(1991年放送)や『ロングバケーション』(1996年放送)は、そうした新しい月9の作風を受け継いだものです。

 そこには、大きな時代の変化もありました。1991年と言えば、1980年代後半から続いてきたバブル景気が終わった年です。それはいわば、右肩上がりの成長や豊かさを信じることのできた時代の終わりでした。

バブル崩壊が生んだ平成の空気感


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