名だたるIT企業が渋谷に本社を構える合理的理由

渋谷には、IT系やアパレル系などの企業が多数所在しています。なぜ渋谷はこうした企業の「集積地」となったのか。消費者経済総研チーフ・コンサルタントの松田優幸さんが解説します。


なぜ渋谷を選ぶのか?(1)国内IT企業の場合

 国内IT企業が渋谷を拠点に選ぶ理由は何か。対照的な業種を例に考えてみましょう。

 例えば非技術系のビジネスマンは、さまざまな関係者・取引先へ出向いて打ち合わせや会議、取材などを行う、移動の多い職業です。大勢の人と会い話をするという仕事柄、夕方には声がかすれてしまうという人もいるほど。

 それだけ移動が多いのならば、関係先の近くにオフィスを構えるのは当然です。古くから東京のビジネスの中心地だった丸の内・大手町かいわいには、多くの企業が集まり、より巨大なビジネス街を形成していきました。

 丸の内・大手町のオフィスビル需要は高く、賃料も国内トップクラスの水準を保ち続けています。一方の渋谷はというと、丸の内・大手町から離れているということもあり、 以前はオフィス需要も比較的少なく賃料にも割安感がありました。

 この「割安感」が新興企業であるIT系のニーズにマッチしました。さらにその業務内容と照らし合わせても、プログラマーやシステムエンジニアはプログラミングやシステム設計に没頭する場面が多いので、取引先への移動・面談が比較的少ない傾向にあります。

 そのため丸の内・大手町に近い必要性がさほどなく、賃料が当時まだ安かった渋谷を選ぶことが多かったのです。

 また渋谷駅はターミナル駅ですから、さまざまな路線が利用できて通勤に便利というメリットがありました。

渋谷とは対照的な街並みが広がる「ビジネスの中心地」丸の内・大手町(画像:写真AC)

 言うまでもなく丸の内・大手町もまた、交通の中心地であり、伝統・風格・格式・貫禄を擁する街。それを評価する人々や企業が多いのはご存じの通りです。

 一方、その「カウンター」のようにして成長してきたビジネス街としての渋谷は、ネクタイや背広が好きではなく、また新しいことやエキサイティングなことが好きな人が比較的集まりやすい傾向にあります。

 IT企業などで働く若い社員の感性が「渋谷という街の感性」に近いというのも、渋谷が新興企業に選ばれる理由のひとつかもしれません。

なぜ渋谷を選ぶのか?(2)外資系の大企業の場合


【一目瞭然】各国の大使館が港区・渋谷区に集中している様子が分かる俯瞰図

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