ユーミンの「中央フリーウェイ」が今でもドライブデートの人気曲No.1である決定的理由

ソニー損害保険が行った「初めてのドライブデートでかけたい曲」の調査結果で、ユーミンこと松任谷由実(荒井由実)さんの「中央フリーウェイ」が1位に、2位と5位にサザンオールスターズが輝きました。いったいなぜでしょうか。社会学者で著述家の太田省一さんが読み解きます。


「郊外」に「市民権」を与えたユーミン

 一方快適なドライブのためには、高速道路など道路網の整備も必要でした。実際、1960年代は首都高速道路や東名高速道路など高速道路の建設ラッシュが始まった時代でもありました。

 中央自動車道は、そんな時代に生まれた高速道路のひとつです。1967(昭和42)年に調布と八王子間が開通、最終的には東京と愛知、山梨を結ぶようになりました。ユーミンが「中央フリーウェイ」と呼びかたを変え、曲にしたのは1976(昭和51)年のことです。

 この曲、メロディーラインの心地よさもありますが、歌詞に具体的な風景が書かれているのが耳に残ります。「調布基地」は在日米軍の調布基地、「競馬場」は東京競馬場、「ビール工場」はサントリー武蔵野ビール工場を指します。どれも実際に都心から八王子方面に向かって車で走ると目の前に広がる風景の一部です。

「中央フリーウェイ」に出てくる「調布基地」の場所にある現在の調布飛行場。1974年に在日米軍から全面返還された(画像:写真AC)

 八王子は、ユーミンの生まれ育った街でもありました。最新の流行やアートに早くから興味津々だったユーミンは、都心の盛り場に出入りし、お茶の水の美術学校にも通いました。「中央フリーウェイ」に描かれている風景は、若き日のユーミンが車で家路についたときに実際に見たものかもしれません。

 八王子など東京の郊外は、それまで流行歌の舞台になりにくいものでした。歌謡曲、特に演歌に顕著ですが、舞台になるのは例えば藤圭子「新宿の女」のように東京にある盛り場か、北島三郎「函館の女」のように東京から離れた地方ということが多く、その“中間”は歌にならない空白地帯でした。

 1971(昭和46)年にデビューしたユーミンは、都市に隣接する「郊外」という場所に歌の世界でおそらく初めて市民権を与えました。既存の流行歌に対抗する「ニューミュージック」の元祖でもあったユーミン。その新しさは、サウンド面だけではなく歌の舞台のチョイスにもあったと言えます。

サザンをかければ、どこでも「湘南気分」


【初めてのドライブデートでかけたい曲】夏色、TSUNAMI……1位は?

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