「世田谷邪宗門」83歳のマスターが紡ぐ比類なき”味” | 老舗レトロ喫茶の名物探訪(1)

2018年10月13日

お出かけ
ULM編集部

下北沢で50余年に渡り純喫茶を営む作道 明さん。その手が紡ぐ熟練コーヒーや温かな雰囲気、レトロ感が織りなす居心地よさは、筆者を老舗レトロ喫茶の名物探訪に駆り立てるきっかけとなりました。その中から、女性にオススメの店を連載で紹介していきます。


紅茶の淹れ方は森 鴎外の娘に教えてもらう

 世田谷邪宗門には、森 鴎外の娘の森 茉莉さんがよく来て、お気に入りの席に座って日がな一日原稿を書いていたそうです。イギリスメーカーの紅茶葉をお土産に買ってきて、美味しく紅茶を淹れる方法を教えてくれたのも、茉莉さんだったとのこと。それまで作道さんは日本メーカーのティーバッグを使っており、茉莉さんからもらった紅茶缶を開けた瞬間、その香り高さに「イギリス製の紅茶には女性用の香水が入ってる!と真剣に思った」と言って、笑みを浮かべました。

「今は森 茉莉さんのように、一日中、店で原稿を書いている、というような人はいなくなりました。サラリーマンの人たちも、昔は営業先訪問までの時間潰しや、3時頃にちょっとサボリによく来ていましたが、今はどこの会社も時間管理が厳しくなったみたいで。学生の下宿もなくなって、人足が遠のきました。会社でも家でも今はいいコーヒーマシーンがありますしね」(作道さん)

 そんな話をしながら、ハンドドリップで淹れてくれた邪宗門オリジナルブレンドコーヒーは、モカベース。普段あまり好んで酸味のあるコーヒーを飲まない筆者が、すんなりと飲むことができたのは、香りとコク高いコーヒーの美味しさに加え、作道さんが醸す空気感とレトロな佇まいの3つ”味”が調和してのことに思えました。

開業以来ずっと使い続けている豆挽き(左)。何十年と使い続けているカップに注がれた、邪宗門オリジナルブレンドコーヒー(ホット、520円)はモカベース(2018年8月22日、宮崎佳代子撮影)。

「あと、1、2年でもう引退かな?」という作道さん。時代はサードウェーブ。そうは言わずに、どんな高性能コーヒーマシーンにも作れない、熟練の味わいを、できる限り長く提供し続けてほしい。

 久しぶりに老舗喫茶ならではの温かみや長居したくなる心地良さ、円熟味のある美味しさを味わい、老舗レトロ喫茶とその名物探訪をしてみようと思い立ちました。本連載では、その中から女性にオススメの店を紹介していきます。 

●世田谷邪宗門
・住所:東京都世田谷区代田1-31-1
・電話番号:03-3410-7858
・アクセス:京王井の頭線「下北沢駅」南口から徒歩約12分、小田急バス「代沢小学校」下車 徒歩約3分、東急バス「代田中筋」下車 徒歩約4分
・営業時間:9:00〜18:00
・定休日:木曜日 
※作道さんの体調により、定休日以外にも休業する場合があります。来店の際は電話で確認することをおすすめします。


【レトロ喫茶ギャラリー】所狭しとアンティークが並ぶ店内

画像ギャラリー

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