80~90年代のクリスマスソングは、なぜ私たちの胸を強く締め付けるのか?

今も歌い継がれるクリスマス定番ソングの数々。そこに映し出される当時の東京や日本の風景、若者たちの恋愛模様について、社会学者の太田省一さんがロマンチックに語ります。


映像世界との融合が音楽に宿した、より深い物語性

 ただ「クリスマス・イブ」という歌自体は、決してハッピーなものではありません。むしろ逆です。「きっと君は来ない ひとりきりのクリスマス・イブ」と叶わぬ恋の心境が綴られた詞からは、山下達郎の透き通るようなハイトーンも相まって、なんとも言えない寂しさが感じられます。

 同じことは、これも大ヒットした辛島美登里「サイレント・イヴ」(1990年発売)にも当てはまります。

 この曲は、仙道敦子と吉田栄作が主演したドラマ『クリスマス・イヴ』(TBSテレビ系)の主題歌でした。

1990年にTBSテレビ系で放送されたドラマ『クリスマス・イヴ』(画像:TBSテレビホームページ)

 都内にある大手都市銀行の支店でともに働く、仙道が演じる一般職の女性と吉田が演じる総合職の男性との恋愛模様が描かれています。ふたりはクリスマス・イブに出会うのですが、その場所がオーストラリアのリゾートというのがいかにもバブルです。

 交際するうちにふたりの間にすれ違いも生まれますが、結局1年後のクリスマス・イブをきっかけに互いの気持ちを確かめ合います。つまり、ハッピーエンドです。

 それに対し、辛島美登里の「サイレント・イヴ」は、「クリスマス・イブ」と同じく失恋ソングです。歌のなかの女性は、「さようならを決めたことは けっしてあなたのためじゃない」と現在の恋愛を断ち切って前を向こうとします。辛島美登里の優しいなかにも説得力豊かな歌声が、女性の気持ちを後押しするようです。

 こうした映像(物語)と音楽の相乗効果、光と影のコントラストは、クリスマスへの私たちの想像力をより豊かにするものであるように思います。私たちが今もクリスマスに感じる特別な情感は、そうして培われてきた面が少なくないはずです。

バブル崩壊とともに男女の「熱」も落ち着いていった?


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