東京五輪 都内小学校の相次ぐ観戦辞退は当然か? 灼熱の中、児童を引率するのが危険すぎるワケ

朝日新聞デジタルが報じた「東京オリパラ」観戦辞退問題。その背景にあるものを、教育ジャーナリストの中山まち子さんが解説します。


公立学校のエアコン導入率はほぼ100%

 2010年の記録的な猛暑を受け、東京都では公立の小中学校にエアコンの導入を進めてきました。その結果、現在ではほぼ100%の公立学校でエアコンが完備されてます。自宅にはエアコンがあるけど学校にはない、といった状態は解消されており、児童が空調の整った環境で勉強に集中できるようになっています。

東京オリンピック・パラリンピックのイメージ(画像:写真AC)

 その反面、とくに低学年の児童たちは暑さに慣れず急激な体調の変化を起こす危険性もあるのです。東京の夏は大人でもこたえます。児童たちに何か起きてもおかしくありません。

 競技会場に隣接している学校の児童であれば、移動に伴うリスクは最小限にとどめられます。しかし、会場から離れた場所の小学校の児童たちは猛烈な暑さの中、公共交通機関を利用して移動しなくてはなりません。

 暑さに慣れていないと判断力が落ちたり集中力も途切れてしまい、知らぬ間にグループから離れてしまうことも考えられます。屋内競技の観戦であっても、天候によっては移動時に炎天下の中を歩くはずです。観戦という「貴重な体験」と熱中症などの「トラブル」を天秤にかければ、多くの小学校では後者を選択するでしょう。

熱中症の救急搬送ピークと重なる開催期間

 総務省消防庁によると、直近3年間で熱中症の救急搬送が一番多い月は2017年と2018年が7月、2019年は8月となっています。とくにオリンピックの開催期間は7月下旬から8月上旬と、救急搬送のピークと重なっています。

 こうした明確なデータを見てしまうと、教育現場が観戦に二の足を踏むのは当然と言えるのではないでしょうか。学校の規模にもよりますが、何事もなく1学年100人程度の低学年児童を引率出来るとは限りません。

東京オリンピック・パラリンピックのイメージ(画像:写真AC)

 学校教育の下で何か起きたら、学校側が責任を問われるのは避けられません。自国開催という千載一遇のチャンスを見逃すのは教員たちも難しい決断だと思います。しかし、熱中症の危険度が高まる時期に、低学年の児童を引率して集団行動をとるにはデメリットが多すぎます。児童たちを保護者に無事に戻すことを最優先に考えれば、オリンピックやパラリンピックの観戦を辞退する流れが加速したのは自然なことといえます。


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