足立区の「おいしい給食革命」が生んだ愛のスパイラル、名古屋市「質素すぎる学校給食」問題から考える

子どもたちに対して“おいしい給食”を提供していることで知られる足立区。提供したことで周辺環境にいったいどのような影響を与えたのでしょうか。フリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。


“おいしい給食”のきっかけは「食品残さ」

 こうした状況から、大阪府は給食の改善に乗り出しました。また、府内全市町村で中学校給食が完全に実現できていないため、2019年の大阪府知事選では中学校給食の完全実施を公約に掲げた候補者もいました。

「たかが給食なのに、贅沢を言うな」「食べられるだけ、ありがたいと思え」という声もあります。しかし、いまや給食は単なる「食事」、「欠食児童の栄養補給」ではありません。行政がきちんと向き合わなければならない重要な政策のひとつになっているのです。

質素過ぎる給食のイメージ(画像:写真AC)

 一方、東京都足立区は区長が主導して“おいしい給食”に取り組んできた自治体です。足立区の給食は20年以上前からおいしいと区民から高評価を得てきました。現在の近藤やよい区長が2007(平成19)年に就任して以降は、その味に磨きがかかっています。

 足立区が“おいしい給食”に取り組んだきっかけは、食品残さが深刻な問題になっていたからです。小さな子どもにはアレルギーで食べることができない食品も多々ありますが、それ以上に好き・嫌いによる食べ残しがたくさんあります。食べ残しを減らす工夫として、足立区は“おいしい給食”に取り組むようになったのです。

空腹を放置すれば、凶悪犯罪を行う可能性も

 食品残さを減らすという目的から始まった足立区の“おいしい給食”は、思わぬ効果をもたらします。それは、非行少年の減少と区内の治安改善でした。

 日々の仕事に追われる家庭は、家で子どもの面倒を見ることがおろそかになりがちです。それが不登校児を増やす一因にもなっているわけですが、不登校児は昼に家にこもっているわけではありません。暇を持て余した彼らは、昼間に街をぶらぶら徘徊します。

 食べ盛りの年頃ですから、街をぶらぶらしていればお腹は減ります。かといって、ごはんを買うお金はありません。お腹を満たすため、スーパーやコンビニなどで万引きを繰り返してしまうのです。それが常態化して犯罪をしているという感覚が麻痺してしまうと、さらに凶悪な犯罪に走ってしまう可能性があります。

少年犯罪のイメージ(画像:写真AC)

 非行に走る児童たちをつくらないため、足立区や小学校が「授業は退屈かもしれないけど、学校に来れば、おいしい給食がお腹いっぱい食べられるよ」と呼びかけました。この呼びかけが奏功し、少しずつ不登校児を減らしていったのです。

非行少年の減少で、区のイメージアップに


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