長年の悲願達成も、相模鉄道「都内乗り入れ」が手放しで喜べないワケ

相模鉄道の西谷~羽沢横浜国大駅間開業で、相鉄の電車が東京を走ることになりました。通勤・通学客にとってはメリットばかりに見えますが、実はそうでもないようです。フリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。


メリットばかりではない「シームレス化」

 しかし、直通運転はそうしたメリットばかりではありません。

 2015年に東京~上野駅間で開業した上野東京ラインは、それまで山手線や京浜東北線を使わなければならなかった東京駅と上野駅間の移動をスムーズにしました。

 その一方、上野東京ラインとは関係のない路線・区間にも関わらず、そこで輸送障害が起きると、その影響が上野東京ラインにまで及ぶという不測の事態が起きることもありました。

 実際、上野東京ラインの開業日には、京浜東北線で事故が発生。並走する上野東京ラインでも大幅な遅延となりました。

 開業から2週間後には、神奈川県の臨海部を走る鶴見線で事故が起きています。その余波が京浜東北線に及び、京浜東北線の輸送障害が上野東京ラインの電車を遅延しました。一見すると無関係のようにも思える、それいて連鎖的な輸送障害が起きています。まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」のようなアクシデントです。

西谷駅から羽沢横浜国大駅へと向かうために、地下線に入る相鉄の試運転列車(画像:小川裕夫)

 輸送障害が起きると、電車は運行を停止します。そのため、電車を待っている人が駅構内やホームに滞留することになり、危険な状態に陥ります。

 また、駅前のタクシー・バス乗り場にも人が溢れます。さらに、先を急ぐ乗客が他路線へと集中することにもなります。時間通りに電車が運転されていないことが利用者のイライラを募らせ、それが無用のトラブルを起こすことも珍しくありません。こうした二次的な影響も少なからずあります。

 このように鉄道の輸送障害は社会的な影響が大きく、それだけに鉄道各社は少しでも鉄道事故・輸送障害をなくそうと懸命の努力をしています。それでも、起きてしまうのが事故・トラブルです。

 鉄道のシームレス化は、移動をスムーズにするというメリットがあります。他方で、関係のない路線にまで輸送障害を波及させてしまうというデメリットもあります。

 相鉄の東京乗り入れは、東京圏の動線を大きく変えるでしょう。しかし、万が一の輸送障害に備えて、利用者は安全かつスムーズに移動できる“ふたつめの経路”を確認しておく必要もありそうです。


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