『天気の子』を見て、私が思わず想像した新海監督と「新宿」の深い関係

7月に公開され、国内外で話題となっている新海誠監督の映画『天気の子』。そんな『天気の子』に出てくる心象風景について、まち探訪家の鳴海侑さんが考察します。


日本橋や有楽町はほとんど出てこない

 一方でほとんど出てこなかったのが下町です。作中で唯一下町に近いのはヒロインの家の田端でしたが、台地を生かした場所選びという印象が強く残ります。隅田川に代表されるような低地帯の「下町感」はあまりありません。海のあるシーンが出てくるときは臨海副都心でした。

 さらに私が不思議に思ったのは作中で「下町の家」として出てきたとある老人の家の描写です。庭で迎え火を炊くシーンがあるのですが、下町の家というのは密集しており、広い庭のある場所は大変限られています。映画に出てきた家はどちらかというと、荻窪あたりの郊外にある住宅を想起させる広さでした。実は『天気の子』を見ていくと「山の手」や「城西」で展開する物語であることに気づかされます。

 では、こうした場所のチョイスは『天気の子』独特のものなのでしょうか。ストーリーに込められたメッセージと関係あるものなのでしょうか。

 実は新海監督の作品全体で似たような傾向があります。新海監督が描く東京は、新宿が非常にクローズアップされているものが多いのです。そして下町はもちろん、日本橋や有楽町といった場所もほとんど出てこないこともユニークな点といえます。

 大ヒットした2016年公開の「君の名は。」で出てきた東京のシーンでは、主人公の滝君が勤めていたカフェのモデルは新宿御苑前のカフェでした。また、ラストの方で印象的なシーンには新宿駅近辺やこれまた新宿区の四谷 須賀神社(新宿区須賀町)が使われています。

代々木駅前から「NTTドコモ代々木ビル」を望む(画像:写真AC)

 ほかにも「言の葉の庭」(2013年公開)は新宿御苑の東屋が重要な舞台装置ですし、大きな時計が特徴的な代々木のNTTドコモ代々木ビル(渋谷区千駄ケ谷)を中心とした俯瞰視点の映像も印象的でした。

 コアなファンが多い「秒速5センチメートル」(2007年公開)では新宿から3駅のところにある代々木八幡駅近くの踏切が印象的なシーンで使われ、主人公がヒロインに会いに行くシーンでは新宿駅から出発しています。他の新海監督の作品でも東京が出てくるシーンではびっくりするほど新宿近辺のビル街や飲み屋街が使われています。

新海監督の作品からにじみ出る「作家性」


この記事の画像をまとめて見る

画像ギャラリー

/wp-content/uploads/2019/11/191121_shinkai_01-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/11/191121_shinkai_02-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/11/191121_shinkai_03-150x150.jpg

New Article

新着記事

Weekly Ranking

ランキング

  • 知る!
    TOKYO
  • お出かけ
  • ライフ
  • オリジナル
    漫画