ついに1000円を超えた都内の最低賃金 人件費高騰は「地獄の片道切符」か、日本復活への起爆剤か
2019年11月19日
ライフ10月から1000円を超え、1013円となった都内の最低賃金。そのもたらす効果について、日沖コンサルティング事務所代表の日沖健さんが解説します。
外国人に雇用がシフトする
それ以外の一般的なパート・アルバイトにとって、今回の最低賃金の引き上げは、基本的には朗報です。しかし場合によっては、マイナスに働くかもしれません。

最低賃金制度は、日本人だけでなく日本で働く外国人にも適用されます。ただ、外国人留学生や外国人技能実習生の雇用には抜け道や違法行為が横行しており、賃金は低水準です。法務省の調査によると、外国人技能実習生の実に7割近くが最低賃金未満で働いています。最低賃金の引き上げを受けて、人件費アップで苦しむ企業は、低賃金の外国人留学生や外国人技能実習生の雇用をますます増やすことでしょう。
つまり日本人のパート・アルバイトは、外国人留学生や外国人技能実習生に取って替わられます。最低賃金の引き上げは、パート・アルバイトの雇用を脅かす可能性があるのです。
営業時間の短縮と無人化が広がる
最低賃金の引き上げは、パート・アルバイトをたくさん雇用している飲食業・小売業などの姿を大きく変えるかもしれません。
まず企業は、低賃金の外国人留学生や外国人技能実習生の雇用を増やします。ただ、「外国人技能実習生は実質的に人身売買だ」という国際的な批判が高まっており、現在の制度がそのまま長く続くことはないでしょう。将来、低賃金の外国人労働者に頼れなくなったら、企業が取るべき対策はふたつです。
ひとつは、事業活動の縮小です。すでに人手不足で深夜営業を取りやめる小売店・飲食店が増えています。こうした動きが、最低賃金の引き上げで今後さらに広がることでしょう。もうひとつは、人を使わない経営です。コンビニの無人店舗やスーパーの無人レジが出始めています。今後、小売業だけでなくさまざまな業種で、無人化が加速することでしょう。
最低賃金の引き上げで、小売店・飲食店を中心に東京の風景は大きく変わりそうです。
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