「ビッグエッグ」の愛称、どこへ行った? 平成初期を彩った東京ドームを振り返る
2019年11月10日
知る!TOKYO令和を迎えた今、平成もまた懐かしさとともに振り返る時代となりました。平成文化研究科の山下メロさんによる「平成レトロ」研究、今回は1988(昭和63)年に完成した東京ドームが舞台です。
東京のお土産グッズに描かれる常連に
たとえば「浅草」と書かれたキーホルダーには、浅草寺雷門の右側に控えめながら東京ドームがのぞいています。東京タワーやサンシャイン60も含めて、果たして位置関係は合っているのでしょうか。

液晶温度計がついた長方形キーホルダーにも、東京タワーや東京駅と一緒に東京ドームが。また三角型のキーホルダーは、東京タワーのチャームをずらすと雷門・サンシャイン6・、東京ドームが現れるデザインです。東京ドームのイラストは丸っこ過ぎて、まるで亀の甲羅のようです。
積み木のような木製ブロックを並べ替えて日付を表示するブロックカレンダーにも東京ドームが描かれていました。上記の三角形キーホルダーと同じように、東京ドームや東京タワー、雷門がデフォルメして描かれています。「東京―原宿」という文字が書かれていることからどうやら原宿のお土産のようですが、原宿のスポットはいっさい描かれていません。
こうしてお土産グッズを眺めてみると、東京ドームがいかに新しい観光スポットとしての役割を担っていたのかが分かります。今では当たり前に存在する東京ドームも、開業時は非常に珍しいものでした。
消えた愛称「ビッグエッグ」
さて、そんな風に開業時から人気だった東京ドームですが、当初の愛称であった「ビッグエッグ」は今ではめっきり聞かなくなりました。
そもそもビッグエッグとは、どういった由来なのでしょうか。これは、当時ビッグエッグで売られていた商品を見ると分かります。
まず、東京ドームの形を立体的に表現した白い陶磁器の灰皿です。ドームの屋根部分がフタになっていて、取り外すことができます。内側には丁寧に球場が描かれています。

この灰皿が収められている紙製の外箱には、こんな文字が記されていました。
「BIG Entertainment & Golden Games 」
音楽イベントなどの「Entertainment」と、プロ野球などの「Golden Games」。この略称が「BIG EGG」というわけです。
ですが、これはおそらく後付けでしょう。東京ドームの現地行けばビル群の隙間から白いドーム屋根が見えてきます。その様は、さながら「大きなタマゴ」のようなある意味シュールな情景で、それをそのまま「BIG EGG」としたのではないかと考えられます。
同じ頃、エポック社の野球盤ゲームにも「ビッグエッグ」が登場しました。しかし、屋根が付いているままでは試合の様子が見られないので、大胆にも白いドーム屋根を透明にした斬新なデザインでした。
ドーム球場はその後ほかにも誕生しましたが、「空気膜構造方式」で建てられたのは東京ドームだけ。今も昔も東京ドームの圧倒的な存在感は変わらず、野球の試合でなくとも建造物として眺めるだけでも充分に楽しめます。
そのイメージを分かりやすく表した「ビッグエッグ」は非常に良いネーミングといえるのではないでしょうか。そして、実際に皆がそう呼んでいた時代がありました。音楽ライブを記録したビデオ作品にも「LIVE AT BIG EGG」と書かれていたものです。
しかし時がたつと次第に「LIVE AT TOKYO DOME」といった表記が主流になってしまいました。あれだけ使われていた「ビッグエッグ」という愛称は、だんだんと姿を消して行ったのです。
おすすめ

New Article
新着記事
Weekly Ranking
ランキング
- 知る!
TOKYO - お出かけ
- ライフ
- オリジナル
漫画