大量ゾンビから大規模イルミまで 今なぜ「夜のレジャー施設」がアツいのか?

  • おでかけ
大量ゾンビから大規模イルミまで 今なぜ「夜のレジャー施設」がアツいのか?

\ この記事を書いた人 /

中村圭のプロフィール画像

中村圭

文殊リサーチワークス・リサーチャー&プランナー

ライターページへ

近年、夜間帯を活用したイベントがレジャー施設の集客施策トレンドとなっています。その概要について、文殊リサーチワークス・リサーチャー&プランナーの中村圭さんが解説します。

ホラー・サスペンスコンテンツとの親和性

 レジャー施設というと昼の姿を思い浮かべますが、今、夜のレジャー施設が面白くなっています。もちろんクリスマスシーズンが近づいていることから、本格的なイルミネーションシーズンに突入して夜のレジャー施設の魅力は増しますが、それだけではないさまざまな新しい魅力が生まれています。

 夜のレジャー施設はカップルやファミリーでごった返す昼の賑やかさとは相反する、まるで別の世界に入り込んだような独特の雰囲気があります。ホラーやサスペンスと言ったコンテンツと親和性があり、色々な作品の舞台にもなりました。何かが起こるような、いてはいけない場所に入ってしまったような、どきどきする高揚感を感じる人は多いでしょう。その雰囲気を利用してリアル脱出ゲーム・リアル謎解きゲームやホラーイベントを行う施設も出てきています。

 特に遊園地では夜間帯を活用したリアル脱出ゲームが活発に実施されています。例えば2019年は「夜の巨大監獄からの脱出」が「よみうりランド」(稲城市矢野口)や「ナガシマスパーランド」(三重県桑名市)、「ひらかたパーク」(大阪府枚方市)などの通常営業終了後に実施されました。

 内容はある遊園地跡地に建てられた巨大監獄から脱獄するストーリーのゲームです。水族館でも夜のリアル謎解きゲームが数多く実施されており、「サンシャイン水族館」(豊島区東池袋)では「天空のペンギンと月光の秘密」が7月19日(金)~9月23日(月)に開催されました。

 リアル脱出ゲームやリアル謎解きゲームを実施している企業では、夜の遊園地、夜の水族館をシリーズ化して、定期的にさまざまな施設で開催しています。興味のある人は是非チェックしてみてください。

「オバケンゾンビランド in サンリオピューロランド」のイメージ図(画像:サンリオエンターテイメント)



 また、「サンリオピューロランド」(多摩市落合)では通常営業終了後の夜間帯を利用して「オバケンゾンビランド in サンリオピューロランド」を6月1日、8日(ともに土)に開催しました。このイベントは2019年で5回目。ゾンビウイルスが蔓延したサンリオピューロランドを復活させるという設定で、園内を徘徊する大量のゾンビにライフを奪われないように逃げながらさまざまなミッションをクリアーしていく体験型イベントです。当日の夜間帯は園内が真っ赤な照明に染まり、ゴーストキティやバンパイアキティも登場しました。

アルコール類を提供するイベントも

 近年、夜間帯を活用したイベントがレジャー施設の集客施策トレンドとなっています。利用者も夜のイベントに魅力を感じており、夜間帯は今後も価値創造が期待できると言えます。

 レジャー施設における夕方から夜までの夜間営業は概ね1990年代から実施されていますが、当時は主に「アフター5マーケット」の取り込みが目的でした。夜間帯を新たな魅力づけとして積極的に開拓しはじめたのは2010(平成22)年に入ってからです。

「よみうりランド」は2010年にレジャー施設のイルミネーションブームの火付け役とも言える「ジュエルミネーション」を開始しました。大規模イルミネーションは人気を呼んで集客は拡大、夜のレジャー施設の可能性を示唆しました。その後、プロジェクションマッピングやライトアップなど、さまざまな光のイベントが拡大していきます。

 一方、動物園や水族館ではナイトズーやナイトアクアリウムが登場し、現在は人気イベントとして定着しています。基本的には生き物の昼は見られない夜の生態を見て回るツアーで、生き物の寝ている姿や夜行性の生き物の活動する姿などが観察できます。都心に位置する水族館においてはナイトレジャー需要も見込み、水槽を夜用の演出に切り替え、カクテルなどのアルコール類を提供するところも見られます。また、お泊りイベントを実施する水族館もあり、こちらも人気があります。

つま恋ウォーターパーク(静岡県掛川市)のイルミネーションスライダー(画像:HMIホテルグループ)



 更に最近は、夜間帯に新たな付加価値が生まれています。それは夏の避暑。2019年もそうでしたが、毎年のように夏の記録的な猛暑が更新されています。あまりの猛暑に外出を控える傾向も見られました。しかし、日が陰りだした時間帯から外出するならば比較的涼しく過ごせ、熱中症の心配もありません。

 ここ数年は夏の猛暑を受けてナイトプールを実施する施設が増えています。ナイトプールならば屋外で水着になっても日焼けする心配がなく、女性に人気があります。ホテルのナイトプールはムードのある演出が売りですが、レジャー施設においては夜でもウォータースライダーなどのアトラクションが楽しめ、ダイナミックなイルミネーションなど、規模を活かしたエンターテインメントが特徴となっています。

アトラクション導入で、施設ごとに差別化

「東京サマーランド」(あきる野市上代継)では「絶景・ナイトプール」を実施。イタリアの青の洞窟やシンガポールのクラウドフォレスト、タイのコムローイ祭など世界10か国の絶景をテーマにしたイルミネーションを展開しました。

「サンシャイン水族館」の「天空のペンギンと月光の秘密」(画像:株式会社サンシャインシティ)



 現在、同施設では2019年で2回目となる「Enjoy the night」を開催中で、園全体の光を最小限に落とし、光のアトラクションを展開する「闇夜の遊園地」を開催しています。ナイトプールで人気のあったコムローイ祭やクラウドフォレストのイルミネーションも見ることができます。

 そして、やはりこれからのシーズンはイルミネーションが楽しみでしょう。街中のイルミネーションもロマンチックですが、テーマパークや遊園地、植物園、ファームパークと言った比較的敷地の広大なレジャー施設ではイルミネーションのスケールが圧倒的であり、多様な演出やアトラクション性の導入など差別化が進展しています。

 2019年も「よみうりランド」では10月24日(木)からジュエルミネーションを開催します。今回は「ジュエリーオリンポス」をテーマに全エリアをリニューアルし、650万球のイルミネーションで12エリアにギリシャ神話に基づくイルミネーションを展開しています。

 また、台風15号の被害に見舞われた「東京ドイツ村」(千葉県袖ケ浦市)ですが、急ピッチで復旧し、11月1日(金)から同施設の冬の目玉イベントである「ウィンターイルミネーション」を開催しています。

 2019年は「飛び出せ!!ピコピコドリームワールド ~Play&Smile~」と銘打ち、300万球のイルミネーションで、音楽に合わせイルミネーションが変化する「光と音のショー」、全長約70mにも及ぶ虹のように輝く元祖「虹のトンネル」、壮大なスケールの「3Dイルミネーション」、電動カートを使用したイルミネーション回遊などが用意されています。

 これからもさまざまな夜のイベントが実施されます。夜のレジャー施設に是非足を運んでみてください。

関連記事