「五輪一色」報道が及ぼす危機感 2020年都知事選、今こそ問われる有権者の投票態度

2020年7月5日に実施されることとなった東京都知事選挙。都知事選には毎度、「泡沫候補」と呼ばれるマイナーな候補者が登場します。そんな彼らと有権者の投票態度についてフリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。


泡沫候補が主張する政策にも注目を

 ひとつの選挙に多くの候補者が出馬すると、個々の候補者を取り上げる時間や紙面が足りなくなってしまいます。そうした事情から、報道機関は主要候補と泡沫候補を事前に選別。主要とされた候補者の政策や動向を詳細に報じる一方で、泡沫候補の政策や動向は「ほかにも、こんな方々が立候補しています」というナレーションとともに名前を伝えて済ませます。

 また、商工会議所や青年会議所といった諸団体が告示日前に公開討論会を実施することもありますが、そうした討論会にも泡沫候補が呼ばれることはありません。時間の都合という理由から、報道機関が主要候補と泡沫候補を事前に選別することは有権者の観点から見ても問題があります。有権者が18人の候補者の政策を知ることができなくなるからです。

 有権者のなかには、泡沫候補の政見を聞くことは時間の無駄と考える人もいるかもしれません。しかし、主要候補だから政策が素晴らしいという保証はありません。もしかしたら泡沫候補が主張する政策の方が自分の考えに近い場合だってあるのです。

あらゆる選挙に立候補してきたマック赤坂さんは、2019年の港区議選で悲願の当選(画像:小川裕夫)

 実際、数々の選挙に立候補したマック赤坂さんは長らく泡沫候補として冷遇されました。2016年の都知事選でも泡沫候補として扱われています。しかし、2019年の港区議会選挙で念願の当選。現在、マック赤坂さんは港区議として活躍中です。

 同じく2016年の都知事選に泡沫候補として扱われたNHKから国民を守る党代表の立花孝志さんは、2019年の参院選で当選。晴れて国会議員になっています(その後、参議院埼玉県選出議員補欠選挙に出馬するため辞職)。

 どんな人物でもキラリと光る政策を持っています。それが、仮に大半の有権者には無関係な政策だったとしても、一部の有権者にとっては非常に有益な政策かもしれません。事前に報道機関がシャットアウトしてしまえば、一部の有権者にも届きません。それは投票の選択肢を狭め、一票を投じる有権者にとって明らかにマイナスです。

 泡沫候補の扱いを不当と感じている人たちもいます。フリーランスライターの畠山理仁さんは、泡沫候補に対して敬意を込めて“インディーズ候補”と呼びます。

 長年、“インディーズ候補”の取材を続けた畠山さんは、2017年にインディーズ候補者たちの選挙戦を描いた『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社)を出版。同作は第15回開高健ノンフィクション賞を受賞し、インディーズ候補の存在や活動にも光が当たりました。

 報道機関から黙殺されがちな“インディーズ候補者”たちの政策にもきちんと耳を傾けようという方針から、畠山さんは分け隔てなく立候補者全員に出演交渉し、インターネットで開票特番を生中継しています。

「平等に扱う」ルールが、報道の足かせに


【画像】N国・立花さんも参加していた! 2016年都知事選の「泡沫候補」が一堂に会した「候補者と見よう 都知事選2.0」の様子

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