2020年都知事選の投開票日が早くも決定、五輪開幕の影響は? 前回2016年から振り返る

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2020年都知事選の投開票日が早くも決定、五輪開幕の影響は? 前回2016年から振り返る

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小川裕夫

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東京都の選挙管理委員会が、2020年の東京都知事選について7月5日投開票とする方針を固めたことがわかりました。前回の2016年はいったいどのようなことが行われていたのでしょうか。フリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。

都知事選実施で、都内はてんやわんやに

 東京都のリーダーである都知事の任期は4年です。途中で辞任することがなければ、選挙は4年に一度、実施されます。

シンボルカラーの緑の衣装をまとう小池百合子候補。2016年の都知事選で街頭演説する様子(画像:小川裕夫)



 都道府県知事の選挙は任期満了を迎える日から起算して、30日前以内に実施することが公職選挙法で定められています。現職・小池百合子都知事の任期満了日は2020年7月30日のため、都知事選は2020年6月30日~7月29日のどこかで施行しなければなりません。

 2020年は東京五輪の開催年で、7月24日に開幕します。また、五輪開幕前の7月10日からは聖火ランナーが都内を走ります。東京都が五輪の準備に忙殺されているなか、都知事選は実施されるのです。てんやわんやの騒ぎになることは、誰もが予測できるでしょう。

 そのような混乱を最小限に抑えるべく、東京都選挙管理委員会は2020年東京都知事選挙の投開票日を7月5日(日)にする方針を発表しました。この日程なら五輪との重複は少なく、投開票における会場・職員の確保といった準備がスムーズにできます。なお半年以上も前に選挙日程が決定されることは異例で、それほど五輪の及ぼす影響力が大きいことを物語っています。

 そもそも、2016年の都知事選の実施前から、2020年の都知事選と五輪の日程が重なることが危惧されていました。当時、舛添要一都知事は都議会で激しい追及を受けていました。報道は「いつ辞任するか」を焦点にしていましたが、舛添都知事は「今辞任すると、4年後の都知事選が五輪と重複した日程になってしまう」ことを危惧。もう少しだけ都知事を続けさせてもらいたいといった趣旨の発言をしています。

 また、舛添都知事が辞意を表明後、いち早く都知事選の出馬会見を開いた小池百合子衆議院議員(当時)は、2020年の都知事選と五輪とが重なる事態を踏まえ、仮に自身が都知事に当選したら「任期途中でいったん辞任し、出直し選挙をする。それにより、都知事選の日程をズラす」という案を打ち明けています。

 現職知事が任期途中で辞任し、出直し選挙で当選した場合は任期が4年間延長されません。つまり、予定通り2020年の夏に都知事選が実施されるのです。

誰が東京オリパラの「顔」となるのか

 出馬時に小池百合子衆議院議員が提案した出直し選挙案は、まったくの無意味です。それどころか混乱を大きくし、2回も選挙をするという無駄な費用を生じさせるだけでした。そうした指摘がなされたこともあり、小池百合子衆議院議員は出直し選挙のプランを取り下げています。

選挙掲示板のイメージ(画像:写真AC)



 告示日前から混乱が見えていた2016年の都知事選は、都知事選史上最多の21人が立候補。個々の候補者は特色ある政策をそれぞれ掲げており、次の5つが主な争点とされました。

1.政治とカネの問題(前任の猪瀬・舛添がカネで辞任に追い込まれたため)
2.築地市場の豊洲移転をめぐる問題
3.保育所の充実など、待機児童を解消させる政策
4.首都直下型地震への備え
5.東京五輪における費用負担の見直し

 17日間の選挙戦の結果、小池百合子候補が291万票あまりを獲得し、東京都知事に当選しました。2016年の都知事選は、事前から4年後の2020年の都知事選が混乱することが確実視されていました。そうした選挙でありながら、2016年の都知事選の投票率は前回の都知事選から約13%も上昇。都民の関心が高いことを示しました。

 現職の小池都知事も含めて、2020年の都知事選に出馬を表明している候補予定者はいません。次の都知事は、東京オリンピックの閉会式とパラリンピックの開幕式の顔になります。いったい誰になるのでしょうか?

 もちろん、それだけが都知事選の判断材料ではありません。都政の課題は、多岐に渡ります。投開票日まで半年以上もありますが、今から有権者は「2024年、東京をどんな都市にしたいのか?」「4年間、どんな人が都知事にふさわしいのか?」を考えておく必要があります。

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