2019年冬の「トレンド鍋」はいったい何? ヒントは「進化した辛味」、過去にはミルフィーユ鍋や痛風鍋などがブームに

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2019年冬の「トレンド鍋」はいったい何? ヒントは「進化した辛味」、過去にはミルフィーユ鍋や痛風鍋などがブームに

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有木真理

ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員

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冬の定番料理ナンバーワンといえば、やっぱり鍋でしょう。毎年さまざまなブームの味が登場して私たちを楽しませてくれますが、果たして2019年の注目は何でしょうか? ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員の有木真理さんが大胆予想します。

鍋は自宅で食べる派が多数?? 多様化するスープ商品

 すっかり肌寒くなってきて、そろそろ温かい鍋が恋しい季節になりました。

 昨今、スーパーの売り場には多種多様な鍋用スープが並んでいて、家庭でも気軽においしい鍋を楽しめる時代です。味噌や醤油、トンコツなど定番の味から、バター醤油やホワイトシシチュー味など鍋とは思えないような味まで、バラエティー豊かにそろっています。

また、豆乳ごま鍋やあごだし鍋など家庭ではなかなか味が決めにくいスープも登場。さらに、激辛鍋専門店『赤から鍋』の素など、わざわざ外食に行かなくても飲食店の味が家庭で再現できるようになりました。さらには「ひとり用」のスープも多数登場するなど、「鍋食」は現代社会におけるライフスタイルの変化にも対応しているのです。

毎年多彩なブームが楽しみな鍋料理、さて2019年は?(画像:リクルートライフスタイル)



 いっぽうで、外食における鍋はいかがでしょうか。

 代表的な外食のシチュエーション「会社宴会」で鍋を囲むことについては、「じか箸で鍋をつつき合うことに抵抗がある」「目上の人に注ぐなど気を遣わなければならない」など、マイナスの意見も聞かれます。

「外食鍋」が決して追い風でないなかで、「外食でなければ楽しめない鍋」の魅力とは、わざわざ外食で食べたい鍋とはどのようなものでしょうか? 「外食鍋」の魅力と2019年のトレンド鍋について解説してみたいと思います。

外食でなければ楽しめない鍋の魅力とは?

 前述したように、鍋といえば家庭でもバラエティ豊かな鍋が楽しめる時代です。鍋の世界に限らず、外食業界は今、熾烈(しれつ)な競争を繰り広げています。

 その強敵は「中食(惣菜や弁当などを買って、家で食べること)」市場。わざわざ外食に行かなくても、テイクアウトやデリバリー、お惣菜で本格的な料理が楽しめるようになったからです。外食はその中食といかに差別化を図るかが迫られているのです。

 では、消費者は外食に何を求めるのでしょうか? 家庭では楽しめない特別感とはどのようなものなのか、外食が生き残っていくためには多くの要素が必要になりますが、そのなかでも「エンターテインメント性」と「専門性」、このふたつのキーワードが非常に重要であると筆者は考えています。

 わざわざそこに行かなければ体験できない味やパフォーマンス、あっと驚く食材の組み合わせで想像力をかき立てることが重要で、鍋についても同じことが言えるでしょう。

 外食では毎年、新しい鍋が登場しますが、その傾向は毎年の食トレンドを象徴しているとも言えます。

鶏の出汁が楽しめそうな「コラーゲンスープと和スパイスの鶏鍋」(画像:リクルートライフスタイル)



 SNSの利用が話題になり始めたころは、ステーキが丸ごと入ったインパクトのあるステーキ鍋や、とろ~り溶けるチーズが動画映えするチーズ鍋が登場。そして糖質制限に代表される健康志向がやってくると、きのこ鍋、白菜のミルフィーユ鍋、青菜をてんこ盛りにした草鍋といったヘルシーな鍋が女性たちの間で大人気に。いっぽう健康志向の反動で、白子やあん肝などをたっぷり使った「痛風鍋」や、〆の炭水化物に力を入れた高カロリーな「背徳鍋」も人気となりました。

 こうして過去の流行を振り返ってみると、「これならわざわざ外食に行って食べてみたい!」と思わせる鍋が毎年登場しているのです。

 そしてそれらの鍋は、少々エッジの効いたものが多いという印象です。外食で鍋を食べるシーンというのは、大人数で行う会社の宴会などよりも、趣味趣向の合う仲間と少人数で行くプライベートな場面の方が適しているのかもしれません。

 では、2019年はどんな鍋がブームになるのでしょうか?

2019年の鍋トレンドは「生スパイス」!

 2019年の鍋トレンドは、ずばり「生スパイス鍋」です。

 辛い鍋といえば、皆さんはどんな鍋を想像しますか? 定番のキムチ鍋、韓国のカムジャタン、タイスキ(タイの鍋料理)、火鍋、カレー鍋など、とどまることを知らない激辛ブームのなかで、数多くの激辛鍋が日本に定着しました。

 そんな流れのなかでも現在は空前のスパイスブーム。2019年はこのスパイスに注目しているのですが、なかでも大注目は「生スパイス」です。その理由を解説していきたいと思います。

大迫力の「生スパイス緑 肉肉肉×29肉盛り鍋」(画像:リクルートライフスタイル)



 激辛ブームといえば、辛さのレベルは最高潮に達し、辛味の幅は唐辛子だけではなく、花椒(カショウ)や柚子胡椒、ブラックペッパー、わさび、しょうが……とバラエティを増し、長年続いた「激辛ブーム」もやっと一巡したかのように見えました。そこに登場したのが、本格な辛味である「生スパイス」です。

 生スパイスとは、生山椒や生胡椒、生唐辛子など、乾燥させる前のフレッシュな状態のスパイスのことです(なかには乾燥させる前に塩漬けされたものもあります)。東京都内には生胡椒の専門店も登場して、徐々に身近な存在になっています。

 単に辛いだけではなく、その香りや触感も楽しめる生スパイスは、激辛好きの好奇心を刺激する存在となるのではないかと筆者は思っています。

 生スパイスは、すでにさまざまな料理に使われ始めていて、日本料理ではすき焼の薬味に生山椒を入れたり、フレンチ・イタリアンといった洋食では、肉料理に生胡椒や生山椒を使用したりしているす。

 さらには、前述したように食感や香りも大きな魅力のひとつなので、なんとチョコレートなどのスイーツにも使われ始めているのです。2019年はこの生スパイスを使用した鍋が外食店でブームとなると筆者は予測します。

「おいしい」だけでなく「美容」にも期待感

「ホットペッパーグルメ外食総研」のアンケート結果によると、女性を中心に「この2~3年でスパイスが身近になった」との回答が50%近くになります。その理由は「新陳代謝が活発になるから」「美容や美肌効果が期待できるから」と、おいしいだけではなく効果・効能にも期待を寄せていることが分かります。

 またスパイスの効果として期待するものは、第2位の「辛味」を抜いて「香り」が第1位に。この冬、女性を中心にこの「生スパイス鍋」が話題になれば、その後の大ブレイクは間違いなしでしょう。

 なお、すでに筆者のところには、各外食店の2019年の鍋ラインナップが届いています。収穫したての生胡椒を新鮮なうちに塩漬けして、香りや触感を残した純胡椒を使用したコラーゲン鶏鍋。お肉の上に、生の青唐辛子をたっぷり乗せて緑のベールをかぶせたような肉鍋。生のしょうがと実山椒をたっぷり入れた餃子鍋……などなど。どれもとってもおいしそう。

 そしてどれも体にもよさそうで、グルメな女性の興味をそそるメニュ―です。さらに多くのあっと驚く「スパイス鍋」が登場することが楽しみですし、この冬「#スパイス鍋」のハッシュタグがどれだけ増えるのかもとても楽しみです。

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