魅惑の「商店街ハシゴ歩き」 武蔵小山から戸越まで 2.5km・小1時間の小旅行へ

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魅惑の「商店街ハシゴ歩き」 武蔵小山から戸越まで 2.5km・小1時間の小旅行へ

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鳴海侑

まち探訪家

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武蔵小山周辺には魅力ある商店街が散在しています。そんな商店街をまち探訪家の鳴海侑さんが歩きます。

チェーン店が多い武蔵小山商店街パルム

 商店街というとイメージされやすいのがアーケードです。とりわけ道路の上を丸々覆う「全蓋式(ぜんがいしき)」と言われるアーケードに「商店街らしさ」を感じる人は少なくないと思います。日本で一番長い大阪市の天神橋筋商店街も全蓋式ですし、札幌、仙台、広島、熊本のような地方の大きな都市の目抜き通りは「全蓋式」のアーケードです。

 この全蓋式のアーケードがある商店街は、東京にももちろん多くあります。中でも都内で最も長いのは東急目黒線の武蔵小山駅から南東に伸びる「武蔵小山商店街パルム」(品川区小山)。その長さは800mにもなります。今回はそんな「武蔵小山商店街パルム」を起点に商店街を巡り、商店街の特徴を知るルートをご紹介したいと思います。

武蔵小山商店街パルムの入口付近の様子(画像:(C)Google)



 山手線の目黒駅で東急目黒線に乗り換えて、5分ほどで武蔵小山駅につきます。地下にホームがあり、各停と急行双方の停車する利便性の高い駅です。また東急目黒線は東京メトロ南北線と都営三田線に直通しており、大手町や永田町から乗り換えなしでアクセス可能です。

 武蔵小山駅に隣接する「武蔵小山商店街パルム」はそんな駅を出て左前に入口があります。入口横では現在41階建てのタワーマンションが建設中。敷地内には商業施設も作られる予定で、完成すればこのエリアはさらに便利になりそうです。

 マンション建設現場を横に見ながら商店街に入ると、長い直線の両サイドにさまざまなジャンルの店が並び、にぎわいを見せています。この商店街の特徴は飲食店を中心にチェーン店が目立つことです。以前は商店街といえば地域の個人商店が主体でしたが、不動産価値が高く、収益性がある都内の商店街はチェーン店が多くなりつつあります。とりわけこの武蔵小山では顕著な印象です。

 それでもにぎわいを見せているということは人々が集まりやすく、安心して歩ける環境になっているということであう。そんなにぎわいを楽しみつつ、一般的な商店街像とはまた違った雰囲気を感じられるのが、この「武蔵小山商店街パルム」の面白い所です。

よりノスタルジーを感じる戸越銀座商店街

 武蔵小山商店街パルムは駅とは反対側の端まで多くの人が歩いており、歩く人々にはメインの道になっていることがうかがえます。そのため、駅から離れても人がほとんど居なくなるということはありせん。その証拠に商店街の駅から離れた所にも、チェーン店が立地しています。

 武蔵小山商店街パルムのアーケードを抜けるとほどなくして今度は大きな道の中原街道にあたります。歩道橋があるので反対側に渡り、左へ。五反田方面に向かいます。200mほど歩くと信号があり、今度は右手に曲がります。すると今度は戸越銀座商店街です。こちらはアーケードこそないですが、長さは1.3kmと東京でもかなり長いものです。また、メディアに多く取り上げられたためご存じの人も多いでしょう。中原街道を挟んで大きな商店街がここまですぐ近くにあるのです。

 戸越銀座商店街を少し歩けば東急池上線の五反田駅があります。近年、東急は池上線の知名度向上や沿線の空き家解消などに力を入れており、イメージ一新の意味合いも込めて戸越銀座駅は2016年末に木を基調としつつおしゃれモダンな温かみのある駅舎に変わりました。

 そして線路を越えるとテレビなどで「戸越銀座」としてよく紹介されるエリアになってきます。惣菜や飲食店が多く立地し、チェーン店も見られます。2007(平成19)年に現代的なデザインになってオープンした銭湯、戸越銀座温泉に入るのもいいでしょう。

戸越銀座商店街の様子(画像:(C)Google)



 もちろん普通に歩いてみても楽しいのですが、ここでさらに武蔵小山の「武蔵小山商店街パルム」との違いに着目すると商店街を楽しむことができます。ふたつの商店街は同じく直線的ではありますが、屋根のあるなしではかなり受ける印象は大きく異なります。

 さらに言えば、チェーン店の多さもふたつの商店街で違いますし、戸越銀座商店街には角打ちの飲食店があったりと、戸越銀座商店街の方が個人商店かつノスタルジーを感じる商店街といえるのではないでしょうか。

地図やストビューではわからない感覚を味わおう

 このふたつの商店街をハシゴするだけでも面白いのですが、さらにもう少し別の商店街を歩いてみましょう。

 戸越銀座駅から商店街を500m弱東に歩き、大東京信用組合戸越支店の角を右に曲がります。すると上り坂があり、住宅地の中に入ります。坂の途中で振り返ると、商店街を挟んで反対側にも坂があり、戸越銀座商店街は「谷」に位置していることがわかります。周りの住宅地は丘の上にあり、商店街は谷にあるのです。

 まあ、戸越銀座駅から東に向かう商店街の中も下り坂になっています。この地形が実は戸越銀座の長さとにぎわいを生み出しているのです。地図やグーグルストリートビューで見てもとあまり高低差を感じることはないのですが、これは歩いてみるとよくわかります。

 今度は坂を登り切ってまっすぐ進みます。すると住宅街の中にぽつぽつと商店があります。ここも実は商店街で、東急大井町線の戸越公園駅へ続きます。先のふたつの商店街に比べてかなり小さな商店街ですが、このあたりのエリアで多く見られる食品スーパー「オオゼキ」から先は商店がぐんと増え、信号を渡って「戸越公園中央商店街」に入ると一気に商店街らしくなります。

戸越公園中央商店街の様子(画像:(C)Google)



 実は商店街の中にはこうした食品スーパーをひとつの核、駅やバス停をもうひとつの核とし、ふたつの核のあいだに商店が多く立地し、人通りも多く見られます。

 これまで見てきた大きな商店街は商店街そのものが人を誘引しますが、小さな商店街だとこのようなパターンのものが多いです。また、長さは短くなり、商店だけでなくマンションやアパートも目立つのがこうした小規模な商店街の大きな特徴です。

 ここまでふたつの大きな商店街とさらに小さな商店街を紹介しました。すべて通して歩いて見ても2.5kmほどで、ゆっくり歩いても1時間かからないちょうどいい距離です。ぜひ興味のある人は、この商店街ハシゴ歩きで表情の異なる商店街を楽しんでみてください。

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