中島みゆき『世情』――日本中が釘付けになった昭和50年代のドラマ 足立区【連載】ベストヒット23区(4)

人にはみな、記憶に残る思い出の曲がそれぞれあるというもの。そんな曲の中で、東京23区にまつわるヒット曲を音楽評論家のスージー鈴木さんが紹介します。


作品に「メッセージ」が込められていた時代

 音楽の話に戻せば、第1~2シリーズの『3年B組金八先生』は、音楽、それもニューミュージックの色がとても強い作品でした。例えば、第1シリーズ「十五歳の母」で流れたアリス『秋止符』(1979年)や、また沢村正治(田原俊彦)が悦子先生(名取裕子)に恋をする20話「卒業十日前の初恋」に流れたオフコース『さよなら』(1979年)あたりは忘れられません。

 実は「金曜日の夜8時」の放送だったから「金八」先生だったのですが、当時大人気だった裏番組 = NTV『太陽にほえろ!』では、井上堯之バンドによる、かなりゴリゴリなロックが流れていたので、対して、こちらはニューミュージックで攻めるという戦略があったのかもしれません。

「TBSドラマ黄金時代」だった昭和50年代

 今回の「ベストヒット足立区」は、「金八系」のニューミュージックから、海援隊による主題歌『贈る言葉』『人として』を超えて、決して忘れることが出来ない、中島みゆき『世情』(1978年)に決定します。

桜中学のモデルとなった中学(現・東京未来大学)近くから荒川を望む(画像:(C)Google)

 第2シリーズは「腐ったミカンの方程式」。桜中学の加藤優(直江喜一)が、「腐ったミカン」として自らを放り出した荒谷二中の放送室に立てこもり、当時の教師に謝罪させるも、踏み込んできた刑事たちに逮捕されるという衝撃のシーン、かつテレビドラマ史に残る傑作シーンで流れたあの「♪シュプレヒコールの波~」という曲です。

 個人的なテレビドラマ・ベスト3は、『岸辺のアルバム』(1977年)、『ふぞろいの林檎たち』パート1(1983年)という山田太一脚本の2作と、この『3年B組金八先生』第2シリーズになります。驚くのは、すべてTBSのドラマだということ。昭和50年代は、まさに「TBSドラマ黄金時代」でした。

 黄金時代を支えたものは、青臭く言えば「時代へのメッセージ」が込められていたことにあると思います。高度経済成長後の家庭の闇を描いた『岸辺のアルバム』、学歴社会にはじかれた若者たちの群像『ふぞろいの林檎たち』パート1。そして受験戦争の闇に対してストレートにメスを刺した『3年B組金八先生』第2シリーズ――。

エンターテインメント界の中心だった足立区


【地図】『翔んで埼玉』県に隣接、足立区の位置を見てみる?

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