史上初の決勝T進出 ラグビーW杯、今こそすべての都民が「にわかファン」宣言するべき熱き理由

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史上初の決勝T進出 ラグビーW杯、今こそすべての都民が「にわかファン」宣言するべき熱き理由

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冨田格

ライター、編集者

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いよいよ2019年10月19日(土)から、ラグビーワールドカップ2019日本大会の決勝トーナメントが幕を開けます。日本代表が出場する準々決勝は20日(日)、調布市西区の東京スタジアムにて。まだいまいち盛り上がりきれていない皆さん、今からでも遅くはありません。「本当に面白いのはここから」だと、ライターの富田格さんが力説します。

テレビ中継の視聴率はウナギ上り

 ラグビーワールドカップ2019日本大会、楽しんでいますか?

 日本代表の大活躍をはじめ、各チームの素晴らしい試合、そして選手たちの見事なプレイに、すっかりハマっている人も多いことでしょう。

 日本代表の試合は、テレビ中継するたびに視聴率が爆上げしています。

・9月20日(金) 日本vsロシア:18.3%
・9月28日(土) 日本vsアイルランド:22.5%
・10月5日(土) 日本vsサモア:32.8%
・10月13日(日) 日本vsスコットランド:39.2%

※いずれも関東地区・ビデオリサーチ調べ

準々決勝と3位決定戦が行われる東京スタジアム(画像:冨田格)



 振り返れば開幕直前までは、ラグビーW杯が日本で開催されるということが広く認知されているとは、とてもいえない状況でした。ひとりでも多くの人に興味を持ってほしいと願いを込めて、筆者は開幕戦が行われた2019年9月20日(金)、『「にわかファン」に贈るラグビーW杯超入門ガイド やっぱり楽しんだもん勝ちでしょ?』という記事をこのアーバンライフメトロにて配信しました。

 その日の開幕戦で日本はロシアに快勝。これで少しは盛り上がるだろう、と思っていたら、期待をはるかに上回る勢いでラグビー人気は熱を帯びていきました。皆さんの周りでも、急にラグビーを話題にする「にわかファン」が激増しているのではないでしょうか。

 とはいえ、この流れに乗り損ねてしまったという人もまだまだ多いと思います。もちろんこのまま静かにやり過ごすという選択もアリですが、それでも、ラグビーW杯が日本で開催されること自体があり得ないような奇跡だということは、声を大にして何度でも言っておきたいと思います。ましてや、今まで一度も決勝トーナメントへ進出したことがなかった日本代表が、今回初めてその宿願を果たし、ベスト8に勝ち進んでいるのです。

「4年に一度じゃない。一生に一度だ。- ONCE IN A LIFETIME -」

 今大会のキャッチコピーは、まさに今の日本代表を言い表しています。一生に一度、だからこそ、まさに楽しんだもん勝ち。さあ、あらためて、トーナメント戦を目前に控えた今からでもラグビーW杯を存分に楽しむコツをお伝えいたしましょう。

にわかファンになるのに、早いも遅いも関係ない

 まずはラグビーW杯の仕組みをご紹介します。

 ワールドラグビーでは実績によるランク付けがあって、上位10チームが「ティア1」と呼ばれる強豪国、「ティア2」と呼ばれる中堅国13チームに分けられています。

 日本は現在「ティア2」。このランク分けには厳密な決まりやルールはなく、試合の実績やラグビー競技の実績、格などによって順位の変動が起こります。

 ラグビーW杯には「ティア1」の10チームと「ティア2」から10チームの計20チームが参加。この20チームがまず4つのグループ(プール)に分かれて、予選を戦います。

 プール内の5チームが総当たりで対戦し、勝ち点と条件をクリアすると付与されるボーナスポイントの合計点で競い合います。このプール戦で、各プールの上位2チームが決勝トーナメントに進出するという仕組みです。

 日本は「プールA」で予選に臨みました。同じプールには「ティア1」のアイルランド、スコットランドという強豪国がいましたが、日本はなんと両チームに勝利。さらにはプール戦で全勝し、見事1位で決勝トーナメントに進出したのです。

 9月20日(金)から10月13日(日)までの間には、プール戦が日本各地で連日のように繰り広げられ、試合の結果に一喜一憂するのは楽しくもありました。しかし、プール戦は強豪国と中堅国による試合も多いため、圧倒的に点差が開いて試合内容的に盛り上がりに欠けるカードもちらほらありました。

 しかし10月19日(土)からスタートする決勝トーナメントは、ポイントではなく純粋に勝敗を競い合う一発勝負。日本代表以外はすべて「ティア1」のチームで、いずれも優勝を狙う強豪ぞろいです。準々決勝4試合、準決勝2試合、3位決定戦、決勝――の計8試合で構成される決勝トーナメントは、そのすべてが白熱する大勝負となること必至です。応援する側にとっても、プール戦以上の熱戦に興奮すること間違いなしでしょう。今なお、ラグビー熱に乗りそびれている人も例外ではありません。

ラグビー熱が高まり、関連商品も数多く発売(画像:ロイヤルホテル)



 決勝トーナメントの試合は、10月19日(土)から3週間にわたって毎週末に行われる予定です。

 ラグビー人気が急騰したおかげでインターネットや新聞、テレビにはラグビーに関するニュースや情報が連日あふれ返っていますから、週末は試合観戦に燃え、平日は関連記事を読みあさってラグビー通になっていく――。そんなに楽しい3週間を、これから誰でも満喫できるはずです。

ラグビーW杯日本大会、楽しみ方3つ

 ここで試合観戦の楽しみ方を紹介します。

1. テレビ観戦

 ラグビー入門者の「にわかファン」には、まずはテレビで観戦するのがおススメです。

 なぜならテレビ中継は、「ラグビー経験者でもすべてを把握しきれていない」と言わほど複雑なルールを、解説と字幕表示で非常に分かりやすく解説してくれるからです。テレビ中継が高視聴率を維持しているのも、この丁寧な解説が支持されているのが大きいのでしょう。

「え、今なんで試合が中断されたの?」「今のプレーで反則を取られた理由って何?」「反則のとき相手チームにはどんな有利なことがあんの?」「このボールが2本のバーの間を通ったら、何点追加されるの?」

……などなど、初めてラグビーを観戦する人からない場面でも、テレビなら即時に解説を加えてくれます。また試合の様子を縦横無尽に映し出すダイナミックな映像も、テレビ観戦ならではの楽しさです。

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 ラグビーW杯の中継は、地上波は日本テレビとNHK総合、BSはNHK-BS、CSはJ-sportsで放送しています。

 プール戦は事前に組み合わせが分かっているので、日本戦は地上波の2局で放送されました。いっぽう決勝トーナメントは当初は組み合わせが分からないので、20日(日)に予定している準々決勝「日本vs南アフリカ」戦は、もともとはNHK-BSでの放送を予定していました。

 しかしラグビー人気の過熱ぶりと高視聴率を踏まえて、急きょNHKが大河ドラマ『いだてん』を中止してまで試合を中継することを決めました。日本代表が準々決勝以降も勝ち進んでいけば、さらに日本戦をさらに地上波で見られる可能性が高いと思います。

2. スタジアム観戦

 決勝トーナメントは、大分スポーツ公園競技場(大分市)、東京スタジアム(調布市西町)、横浜国際競技場(横浜市港北区)の3会場で行われます。私は、9月20日(金)の開会式と開幕戦を東京スタジアムで観戦して、スタジアムでの体験は特別なものだと実感しました。

 ラグビーの試合会場の座席は、応援するチームごとに分かれてはいません。他国から訪れた応援団と日本代表を応援する人たちが隣の席に居合わせることも当たり前。だからといって客席で揉め事が起こるわけでもなく、熱を込めてお互いのチームを応援し、心からラグビーを楽しむ独特の雰囲気で満ちています。

 そして、選手に届けとばかりに大声で応援できるのもスタジアムならではの楽しさです。

 ラグビーW杯のスタジアムは、まさにお祭り空間です。開場後はDJがチョイスした洋楽からJ-POPまでさまざまな音楽が流され、巨大モニターにはラグビーのルール解説など多彩な映像が映し出されます。スタジアムの高揚感に包まれているうちに選手たちのウォーミングアップが始まります。テレビでは放送されない場面まで生で見られるのは、間違いなくスタジアムでしか得られない醍醐味です。

 そして試合後には、日本代表だけでなく相手チームもスタジアムをぐるりと回ってお辞儀で応援の感謝を伝えるという、日本大会ならではのパフォーマンスも見られます。

 このパフォーマンスは、日本のファンの熱いおもてなしに感動したニュージランド代表のオールブラックスが始めたものです。そこから各チームへと広まっていき、プール戦が後半に差し掛かるころには、ほとんどの会場で行われるようになりました。このライブ感もまた、スタジアムでなければ味わうことはできません。

 ……とここまで熱く語ってきましたが、残念ながらチケットはほぼ完売しており、入手できる可能性は非常に少ない状況です。ですが、もしも万が一手に入れる機会があったなら、迷わずスタジアムへ行くべきです。一生に一度の体験を逃しては、あまりにもったいないですから。

にわかファンに、もっともおススメの観戦法

3. パブリックビューイング

「にわかファン」にもっともおススメしたいのが、このパブリックビューイングです。スポーツ専門チャンネル「J SPORTS」の映像を大型モニターで中継するこのイベントは、テレビ中継のいいところと、スタジアムのいいところ、両方を兼ね備えた観戦方法だからです。

●テレビ観戦のいいところ
・ルールや試合展開を分かりやすく解説してくれる
・さまざまなアングルからのダイナミックな映像を楽しめる

●スタジアム観戦のいいところ
・臨場感とお祭り騒ぎ

 ラグビーを応援したい人たちがわざわざ集まってくるパブリックビューイング会場は、スタジアムの観客席と同じような高揚感に包まれます。声を出したり、拍手を送ったり、泣いたり叫んだり祈ったり、興奮もため息も感動も感涙もすべて大勢の観客たちと共有することができるのです。そしてどの会場も入場無料です。

丸ビルの「MARUNOUCHI RUGBY PARK」のパブリックビューイング(画像:富田格)



 都内の大会場パブリックビューイングは有楽町と調布駅前のファンゾーン、それから東京駅丸の内口の丸ビル1階の「MARUNOUCHI RUGBY PARK」があります。

 有楽町のファンゾーンは屋内に大モニターが3つ。天候関係なく見られるのはありがたいのですが、天井が高くないためモニターの位置が少々低めなのは難点です。欧米から応援に来ているファンも多いので、背の高くない人が後方から立ち見するのはちょっと厳しいです。お目当ての試合のときには、かなり早めに現地に着いて、見やすい席をゲットする必要があります。

 調布駅前のファンゾーンは、基本は、駅ビル「トリエ」の壁に試合映像を映すコーナーと、屋外の巨大モニターと、調布グリーンホールの3か所。屋外の会場は天候に左右されるのは難点ですが、開放的な空間でビールを飲みながら試合を見て大声で応援できるのは、まさにスタジアムの感覚に近いと言えます。

「MARUNOUCHI RUGBY PARK」は、映像の美しさがピカイチ。440インチ超高精細マイクロLEDスクリーンで、すべての試合を4Kまたは8K放送で見ることができます。その臨場感は、もはやスタジアムを超えていると言っても過言ではありません。

 この3会場、いずれも多くの観客を集めています。特に日本代表の試合のときは、かなり早くから席を確保する必要がありそうです。ちなみに「MARUNOUCHI RUGBY PARK」は20日(日)の「日本vs南アフリカ」戦は、当日午前9時から整理券が配布されるとのことです。

さらにもうひとつ、「奥の手」を伝授

 大会場のパブリックビューイングは実に楽しいのですが、予想以上にラグビー人気が高まったため熾烈な入場争いが巻き起こっています。ですので、にわかファンが入場しにくくなってしまっているのが残念なところ。そこでそこで、にわかファンに真におススメしたいのはズバリ、都内の各自治体が開催しているパブリックビューイングです。

 筆者は「日本vsアイルランド」戦を三鷹市が主催する三鷹駅前コミュニティーセンターのパブリックビューイングで観戦しました。小ぶりな会場には子ども連れの市民も多く訪れていてアットホームな雰囲気。入場無料にもかかわらず応援グッズやガイドブックも配布されていました。社会人ラグビーの現役プレイヤーが試合前とハーフタイムと試合後に登壇して、試合の見所を解説してくれたり、ルールの質問に答えてくれたりと、和やかなムードはとても居心地のよいものでした。

三鷹市のパブリックビューイング(画像:富田格)

 公共の施設なのでビールなどアルコールが飲めない、という難点はあるものの、会場がひとつになって応援する興奮は十分に味わえます。

 日本代表が勝ち進んでいる今、さまざまな自治体がパブリックビューイング・イベントを企画しています。お近くの会場を検索して、あの熱狂と高揚を、「一生に一度」の瞬間を、ぜひ目撃しに行ってください。

 予選の盛り上がりに乗り遅れてしまったことなんて、さっさと忘れてOKです。日本代表の活躍と世界トップチームの熱戦をこの日本で見られるチャンスは、もうとないかもしれません。決勝戦が行われる11月2日(土)まで、とにかく「楽しんだもんが勝ち」です。

いざ、熱戦の2週間が始まる

「ラグビーワールドカップ2019日本大会」の決勝トーナメントは下記の予定で開催されます。どれひとつとして見逃せないカードばかりです。

・10月19日(土)
準々決勝1:16時15分 イングランドvsオーストラリア(大分スポーツ公園総合競技場)
準々決勝2:19時15分 ニュージーランドvsアイルランド(東京スタジアム) 

・10月20日(日)
準々決勝3:16時15分 ウェールズvsフランス(大分スポーツ公園総合競技場)
準々決勝4:19時15分 日本vs南アフリカ(東京スタジアム) 

・10月26日(土)
準決勝1:17時00分 準々決勝1勝者vs準々決勝2勝者(横浜国際総合競技場)

・10月27日(日)
準決勝2:18時00分 準々決勝3勝者vs準々決勝4勝者(横浜国際総合競技場)

・11月1日(金)
3位決定戦:18時00分 準決勝1敗者vs準決勝2敗者(東京スタジアム)

・11月2日(土)
決勝:18時00分 準決勝1勝者vs準決勝2勝者(横浜国際総合競技場)

 今のうちにぜひ日程を覚えておきましょう!

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