いったい誰得? 消費増税が生んだキャッシュレス・ポイント還元事業、その痛い「副作用」とは

10月の消費増税に合わせて始まる、消費者にとって一見ありがたく見えるキャッシュレス・ポイント還元事業。その副作用について、フリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。


税負担回避のための減資に、行政打つ手なし

 消費税を10%に引き上げるタイミングでポイント還元を実施すれば、消費者の痛税感は和らぎます。

キャッシュレス決済のイメージ(画像:写真AC)

 その一方で、キャッシュレス・ポイント還元事業のしわ寄せが47都道府県にのしかかります。

 消費税率10%の引き上げに伴うキャッシュレス・ポイント還元事業の対象は、あくまでも中小・小規模事業者とされています。世間一般に知られるような大企業は、ポイント還元の恩恵を受けられません。

 そうした事態を踏まえ、大企業が中小企業になろうとする「減資」が増えています。減資とは、企業の資本金を減額させる行為のことです。

 日本で経済活動をしている営利企業は、資本金の額によって大企業か中小企業かに分類されます。資本金が1億1円以上になると大企業、1億円以下だと中小企業になります。

 大企業と中小企業では法人税・法人事業税・外形標準課税といった税負担に大きな差が出ます。その知名度と比例して、大企業は経済活動にも大きな社会的責任を負うので、高い税負担が求められているのです。

 対して、中小企業に高い税負担を課すと、経済活動が滞ってしまいます。それは雇用や景気の悪化といった社会不安を増長させます。そのため、中小企業は法人税・法人事業税・外形標準課税といった税負担が軽減されています。

 資本金を減らす減資は、一概に悪い行為と指弾できません。なぜなら、企業活動には好不調の波があり、さまざまな理由で売上や利益が減少することもあるからです。

 例えば、巨額な損失を出したことで経営危機に陥ったシャープ(大阪府堺市)は、2015年に減資をしました。このとき、シャープは中小企業になるべく資本金を1億円に下げようとしています。しかし、世間がそれを許さず、シャープの資本金は5億円で落ち着きました。吉本興業も2015年に約125億円の資本金を1億円へと減資し、中小企業になっています。

 傍目からだと、企業活動が思わしくないから減資したのか、税負担を回避するために意図的に減資したのかが判別できません。まして、課税庁たる都道府県はそれを判断する材料を持っていません。現状、税負担の回避を目的とした減資に対して、行政は打つ手がない状況です。

税の減収によって、行政サービスの質が低下


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