都内の古き良き銭湯が次々とリニューアルしている深刻な事情
2019年9月21日
ライフ近年加速する銭湯ブーム。そのブームと時を同じくして、都内の古い銭湯がリニューアルをしているといいます。いったいなぜでしょうか。温泉ソムリエマスターの高橋里実さんが取材しました。
増税やオリンピック、後継者不足などが影響
ここ数年、多くの銭湯がリニューアルしたという話を耳にするようになりました。銭湯業界で初めてプロジェクションマッピングを取り入れた「久松湯」(練馬区桜台)や、大正ロマンをコンセプトにした「はすぬま温泉」(大田区西蒲田)、スタイリッシュでモダンな雰囲気になった「改良湯」(渋谷区東)など、新しく生まれ変わった個性の光る銭湯が増えています。

2019年1月には妙法湯(豊島区西池袋)もリニューアル。フロントロビーの床にはベルギー製新素材を使用、大きなポイントは水の機能性とのことで、日本で初めて「軟水炭酸シルキー風呂」を導入したそうです。そんな妙法湯の店主・柳澤幸彦さんに、なぜ最近リニューアルする銭湯が増えているのか伺ったところ、
「まずは消費税増税が大きいですね。それと昭和の終わりから平成の初めに建て直した銭湯が多く、時期も時期なんです。あとは、オリンピックの影響もあります。オリンピック終了後は景気がどうなるかわからないので、先にやっておかないと時期を逃して廃業しなくてはならない心配がありますから」
と話してくれました。
また、ある銭湯関係者は、
「代変わりのタイミングで直しているところも多いのかと思います。リニューアル系の銭湯が増えているというよりは、リニューアルできるところが少ないから、できるところが注目されているのかもしれませんね。また、お金の問題だけでなく、経営者に何かあったとき、後継ぎがいるかという問題もあります。いなければ自分の代で終わりにするという判断をするでしょうし、銭湯を貸している人はやる人がいなければマンションにしたほうが利回りのいい場合もあるでしょうし……銭湯経営者は『経営者』なので、稼ぎがでないことはやらないですよね」
とのこと。
銭湯のリニューアルの裏には、増税やオリンピック、後継者不足など社会の影響が大きく反映されているようです。
新旧両方を楽しむのがグッド
リニューアル系銭湯には、細かい設備も現代風に変わったところが多くあります。それこそ取り外しのできるシャワー、最新式ドライヤー、温水便座式トイレなどが導入され、銭湯に馴染みのない人たちでもわかりやすいものが増えたように感じます。

それでも銭湯特有の温かいコミュニティは変わらずそこにあり続けます。古き良き文化を残しながら、時代に合わせて進化する銭湯。460円で体感できるのですから、新旧両方を訪れて楽しんでみるのも良いかもしれません。
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