消えゆく「デパートの大食堂」、昭和の香りとテーブルの上に置かれた半券の記憶をたぐり寄せる

昭和に一世を風靡した、デパートの大食堂。その歴史と魅力について、法政大学大学院教授の増淵敏之さんが解説します。


買い物をしなくても楽しめたデパート

 とくに戦後の経済復興をとげて豊かになってきた1960年代から80年代にかけて、デパートはぜいたくな気分を味わえる憧れの場所でした。休日は、家族そろってよそ行きの服でおめかしをして出かけたものです。

洋食屋の定番・ビフカツのイメージ(画像:写真AC)

 最新のファッションやインテリア、きらびやかな宝飾類、魔法の国のようなおもちゃ売り場、最上階から風景を見渡せる大食堂、屋上の遊園地などなど、たとえ買い物をしなくても、デパートをめぐるだけで親も子どもも幸せな気持ちにひたれました。

 なかでも大食堂は大きな役割を果たしました。子どもたちにとってはそれがデパートのメインでした。大食堂の入口には必ず和洋・中華、軽食、デザートの食品サンプルの並ぶウィンドウがあり、これを見て食券を購入。その食券をウェイトレスがオーダー時に半分に切り、ひとつは厨房に持っていくのです。そしてテーブルに残された半券は、食事が運ばれると回収されました。

 1959(昭和34)年の阪急百貨店うめだ本店(大阪市)の献立の値段は、次のとおりでした。価格は、さほど高くありません。

・ランチ:100円
・ビーフカツ:50円
・ライスカレー:70円
・コーヒー50円
・ホットケーキ:60円
・フルーツジュース:70円

「サザエさん」の磯野家が福岡に住んでいたとき、サザエさんとマスオさんが同エリアのデパート・岩田屋の地下の大食堂でお見合いするエピソードがあることから、当時は大衆感がさほどなかったようです。

 現在、デパートの大食堂は往時の姿を留めてはいません。しかしお子様ランチやホットケーキはデパートの大食堂が発祥といわれ、それらの食文化は現在も違った形で継承されています。

 また現在も大食堂を営業しているデパートも少なからずあり、マルカン百貨店(岩手県花巻市)の大食堂のように店舗は閉店したものの、地元の人々の力で営業を続けているところもあります。

お子様ランチの発祥は、三越日本橋本店


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