人気パワースポットだった明治神宮「清正井」、現在どうなってる? スマホ文化から再考するその魅力とは

2009年のテレビ番組がきっかけで、パワースポットとして人気となった明治神宮の「清正井」。その清正井の魅力と現状について、広島大学大学院准教授の西村大志さんが解説します。


飲もうとする人もいる、透明度が高い清正井

 清正井は、明治神宮のなかの御苑にあります。御苑に入るためには500円を納めることになっています。こちらは明治神宮の本殿や参道とは逆に、静かな空間へ戻っていました。かつてのにぎわいはどこへやら。「500円の壁」もあってか、御苑内の海外の人は3、4割程度です。

御苑の花菖蒲と観光客の姿(画像:写真AC)

 御苑では菖蒲(しょうぶ)を見る人、睡蓮(すいれん)の写真を撮る人などが主で、井戸へ一直線などという人はほとんど見かけません。井戸はかなり奥まったところにありますので、「お井戸はいつも同じだから」といって池の周りを散策後、引き返す老夫婦などもいました。

 井戸に参りますと、青くて透明度が高く、長い行列ができていた頃より水質もよさそうな感じです。「ペットボトルに入れてもいいのかな。飲めるんでしょ」「だめじゃない」といった会話しているカップルもいます。もう「パワースポット」感は大いに低下しているようです。

 ほとんど行列もないのでしばらく観察していますと、ときどき写真を撮る人がいる程度。50代くらいの女性がひとり来て熱心に拝む、幾度も写真に撮るなどされていましたので、かつてのようにパワースポットとして来る人もいるようです。

リアルな清正井、バーチャルな清正井

 ここで、パワースポットの定義を確認しておきましょう。宗教学者の鎌田東二は、

「1970年代に生まれ、2000年代に普及した和製英語です。学問的には聖地や霊場と呼ばれ、神仏、精霊などが顕現する調和のとれた環境が代々守られている癒し空間を指します」(女性セブン、2011年1月13日号)

とパワースポットについて説明しています。

 手元にある「現代用語の基礎知識」(自由国民社)では「心身を癒してくれる自然のエネルギーに満ちた場所」としていますが、いずれも癒される自然な場所や空間を指すようです。では清正井は完全に「自然な場所」、あるいは「リアルな空間」と言えるでしょうか。

 清正井の画像がケータイ、のちにはスマホに取り込まれ、友人などに転送されることもありました。つまり、清正井は現実の空間だけでなく、バーチャルな場所にもあるのです。その場に行き、撮り、送り、シェアする。場合によっては、リアルな場に行かず、ネットで検索したり、シェアしたりしてもよいわけです。

 清正井だけに立ち寄り、写真を撮り、ケータイに取り込み、ネットにアップする一方で、本殿に参拝しないその手軽さは正当な神道の儀礼とは程遠いため、まじめな信者をいらだたせることもありました。

生まれては消える、パワースポットのタネ


【写真】懐かしい、そしてなぜか落ち着く……都内にある路地裏の風景(11枚)

画像ギャラリー

/wp-content/uploads/2019/09/190904_power_04-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/09/190904_power_05-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/09/190904_power_06-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/09/190904_power_07-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/09/190904_power_08-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/09/190904_power_09-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/09/190904_power_10-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/09/190904_power_11-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/09/190904_power_01-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/09/190904_power_02-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/09/190904_power_03-150x150.jpg

おすすめ

New Article

新着記事

Weekly Ranking

ランキング

  • 知る!
    TOKYO
  • お出かけ
  • ライフ
  • オリジナル
    漫画