おばあちゃんの原宿「巣鴨」、実は若者の街だった! 首都圏の外食データから見えてくる新たな街の姿とは

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おばあちゃんの原宿「巣鴨」、実は若者の街だった! 首都圏の外食データから見えてくる新たな街の姿とは

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稲垣昌宏

ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員

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外食市場に関する調査を行う「ホットペッパーグルメ外食総研」の上席研究員 稲垣昌宏さんが「性別」と「年齢」を軸に、外食が盛んな首都圏エリアについて解説します。

首都圏の外食で「若者の街」といえば?

 リクルートライフスタイル(千代田区丸の内)が運営する「ホットペッパーグルメ外食総研」は毎月、首都圏・東海圏・関西圏に住む約1万人の夕食(夕方以降の食事)について、インターネット調査を行っています。

 首都圏に70のタウン(商圏)を設定しており、現在、2017年度(2017年4月~2018年3月)まで分析が可能です。今回はそんな70タウンの分析から、利用者の「性別」と「年齢」に注目してランキング化、特色のあるタウンを紹介します。わかりやすく言うなら、

・若者の外食が多い街は?
・女性の外食が多い街は?

といったような話です。ではさっそく、データを紹介していきましょう。

男性シェアが最も高い街は「サブカルの聖地」

 まずは、性別でのランキングです。全体の外食数を100%としたときに、各タウンで男女がそれぞれ何%を占めるかのシェアを見ます。

 男性シェアが最も高かった街の1位は、「神田・秋葉原・御茶ノ水・神保町」(73.1%)でした。これは外食客の7割以上が、男性であるという意味です。

「おばあちゃんの原宿」と呼ばれ、人気の「巣鴨」(画像:写真AC)



 言われてみると、確かに男性の多い印象があります。2位は「四ツ谷・赤坂見附・市ヶ谷」(72.7%)、3位は個人的に本命と思っていた「新橋・浜松町(虎ノ門含む)」(71.2%)、4位は「小岩・新小岩」(71.0%)、5位は「高田馬場」(69.4%)となっています。

 逆に女性シェアが高いタウンも紹介しましょう。1位は千葉県の「舞浜」(63.0%)、有名テーマパークの影響は大きいですね。2位は埼玉県の「上尾駅周辺」(51.0%)、3位は埼玉県の「越谷レイクタウン(越谷含む)」(49.7%)、4位同率で東京都と神奈川県にまたがる「町田・相模大野」と、「銀座・有楽町」(49.1%)となっています。

 なお首都圏は、女性と比べて自炊をしない単身男性の割合が多いため、女性はランキング上位のタウンでも50%を切っているのが現状です。

平均年齢が最も若い街は、高田馬場

 次に、平均年齢で調べたランキングを見てみましょう。

 平均年齢の高いタウン1位は埼玉県の「上尾駅周辺」(平均48.2歳)、2位は神奈川県の「大船」(同47.4歳)、3位は「小岩・新小岩」(47.1歳)、4位は千葉県の「本八幡(市川含む)」(46.4歳)、5位は神奈川県の「藤沢・辻堂」(46.2歳)でした。郊外の住宅地が並んだ印象です。

 平均年齢の高い街、というと筆者は真っ先に巣鴨を思い出しましたが、結論から言うと「巣鴨(駒込含む)」は70タウン中63位と、むしろ“若者の街”であることが分かります。

多くの飲食店のほか、大学や病院、楽器店が立ち並ぶ「御茶ノ水」(画像:写真AC)



 本調査は夕食を記録しているため、巣鴨にやってくるお年寄りは夕食まで巣鴨に滞在していないことがわかります。むしろ、夕食市場は近隣に住むひとり暮らしの男子学生の影響が大きく、平均年齢を引き下げていると推察できます。

 では、逆に平均年齢の低い街を見ていきましょう。1位は「高田馬場」(36.5歳)。マンモス校である早稲田大学を筆頭に、学生の多さが平均年齢を引き下げていることは間違いありません。2位は千葉県の「舞浜」(38.5歳)、3位は同率で「池袋・大塚」と「渋谷・表参道(原宿含む)」(39.1歳)、5位に「新横浜」(40.4歳)となっています。

 外食は街ごとの客層に応じて、好まれそうな業態や価格帯の店が出店されるため、若者が集まる街には、若者に好まれる店が増えるなどの相乗効果で、ますます街の特徴が強まっていく傾向にあります。

 一方で慣れ親しんだ客層の中に身を置くと、落ち着きはしますが、外食の大事な要素である“非日常感“は薄れ、刺激が足りなく感じることもあるでしょう。

 ときには、居心地の良い街だけでなく、自分とは真逆の客層が集まるような街で外食するのも楽しいです。若い女性が遠方の横丁に出かけて、地元のおじさんと交流しているように、好奇心を持ってさまざまな街や人との交流を楽しみたいものですね。

●調査概要
調査方法:インターネットによる調査
調査対象:20~69歳の男女、首都圏は東京都(一部除外)、神奈川県(一部除外)、埼玉県(県西の一部除外)、千葉県(県東、県南の一部除外)、茨城県の一部に在住(おおむね90分通勤圏)者が対象
調査対象:夕方以降で1日2軒までの外食・中食
調査期間:2017年4月~2018年3月までの毎月
有効回答数:首都圏月平均5743人、首都圏延べ外食数23万604件(各ウエイトバック後人・件数)

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