全国100以上の島々を巡った記者がこっそり教える、とっておきの東京の島3選

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全国100以上の島々を巡った記者がこっそり教える、とっておきの東京の島3選

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東京の島々はとても個性豊かで、独特の観光資源を持ちます。島旅シーズンの季節、これまで全国100以上の島を訪れてきた、島好きの記者一押しの東京の島3選を紹介します。

伊豆諸島9島と小笠原諸島2島から3つ厳選

 夏になると島旅を特集する雑誌や書籍の刊行が増えます。かつて、その多くが沖縄でしたが、今では北から南まで実に多くの島が取り上げられるようになりました。東京にも島しょ部(大小さまざまな島)があり、有人島は伊豆諸島の9島と小笠原諸島の2島です。

小笠原諸島の海は「ボニンブルー」とも呼ばれる独特の美しい色を持つ(2014年、宮崎佳代子撮影)



 記者はこれまで100以上の有人島を訪れてきたことから、よく人にオススメの島を聞かれます。このとき、毎度答えに窮します。旅程や目的によって答えが変わってくるからです。旅程や目的が決まっていない首都圏在住の人には、東京の島々が個性豊かで、オススメ度が高いことをよく話します。ここで、記者が選ぶ東京島しょ部の3島について紹介します。

 ちなみに、2017年の東京島しょ部の来島者数は次のとおりです(カッコ内は世帯数)。

・伊豆大島:24万3986人(4689)
・利島:8769人(174)
・新島:5万547人(1089)
・式根島:2万6301人(279)
・神津島:4万7454人(899)
・三宅島:4万4681人(1649)
・御蔵島:1万720人(177)
・八丈島:10万802人(4384)
・青ヶ島:4120人(108)
・父島:3万4450人(1230)
・母島:1万1048人(272)

 3選のひとつめは、小笠原諸島の母島です。

 東京の竹芝ふ頭から出港して、父島まで所要24時間。そこからさらに母島まで2時間で計26時間。父島での待ち時間を入れると、最短でも28時間かかります。飛行機で、成田から地球の反対側にあるブラジルまで余裕を持って行ける所要時間です。

 母島よりも父島の方が宿のバラエティやレストラン、アクティビティ(遊びや体験)もずっと多いので、母島へ行くことをためらう人も多いことでしょう。父島から船で15分程のところには、桃源郷のような美しさで有名な南島(無人島)もあります。

 それでも母島をオススメとしたのは、父島よりさらにディープにほかでは味わえない島旅体験のできる場所であることからです。

間近に見られるワイルドライフに感動

 記者が母島を訪れたのは、1回目は6月、2回目は3月でした。第一印象は、「父島と比べてこぢんまりとしている」ということ。しかし島を巡ると南洋らしく秘境感たっぷりで、世界自然遺産登録の要素となった生物の多様性に感激しました。そして、何より印象に残ったのが海洋生物です。

八丈島の裏見ヶ滝温泉。源泉掛け流し(2010年、宮崎佳代子撮影)



 小笠原諸島は日本最大のアオウミガメの産卵地。訪れた6月下旬はウミガメの産卵期と聞き、夜中に浜に行ってみました。集落の薄暗い街灯が途絶えた先にある浜は漆黒の闇に包まれていて、波の音が聞こえるばかり。何の情報もなく行った浜で、あまり期待せずに歩いていたのですが、ふと海から足跡のような筋が伸びていることに気がつきました。その瞬間、「ウミガメが来てる!」と思い、にわかに緊張が高まりました。

 ソロリソロリと歩いていると、「シャカッ、シャカッ」という砂を掻くような音。目を凝らすと、足跡の先にモゾモゾと動く物体が。それは、穴を掘る大きなウミガメでした。さらに、2匹ウミガメが上陸しているのを見つけ、ワイルドライフを目の当たりにして大感激。産卵を待っている間、雲間から出て来た月が海と浜を美しく照らし、3匹のカメたちの様子を眺めながら幻想的な気分に浸りました。

 2回めの訪問は3月で、ホエールウォッチングたけなわの季節でした。島の展望台からクジラを遠目に見た時は興奮しましたが、船に乗って沖に出るとクジラの大群が出現。潮を勢いよく吹いたり、ジャンプしたり、間近に見るその迫力に感動しました。

 さらに驚嘆したのは、魚釣りに沖に出た時のこと。突如船のすぐそばに巨大なクジラが現れ、船長が慌ててエンジンを止めると、さらに2匹が海の中から姿を現わしました。船にまとわりついて来て離れず、その人懐っこさにびっくり。時折片方のヒレを水面から高く上げて、まるで我々に手を振っているかのよう。

「人懐っこいクジラがいる」とは島人から聞いていましたが、本当にそんなクジラがいるとは思っていませんでした。母島のクジラ遭遇率は高く、島のさまざまな場所から潮を噴いたりジャンプしているクジラを見ることができます。シュノーケリングで見られるサンゴも美しく、魚種も豊富でここが日本であることを忘れてしまうような島でした。

温泉パラダイス、多彩な観光資源を持つ島

 ふたつめのオススメの島は、1990年代にドルフィンウォッチングで一躍有名になった伊豆諸島の御蔵島です。

 御蔵島周辺には100頭余りのイルカ(ミナミハンドウイルカ)が生息していて、4月から11月までは高確率で出会えます。記者は4月に訪れ、ドルフィンウォッチングにトライしたのですが、出会ったイルカたちがまた人懐っこいこと。子連れの母イルカが、「これが人間というものよ」と教えているかのように、親子で記者の近くに寄ってきて「キュウキュウ」と鳴きながら一緒に泳いでくれるのです。去って行ったかと思うと、また戻って来てくれたり。イルカの優しい目を見ながら共に泳ぐのは、本当に癒されました。

 ガイドさんによると、4月と11月は人が少ないため、イルカの方から人に寄ってくることが多いとのこと。東京という大都会から、船でわずか7時間の島で、中南米のバハマにでも行ったかのような経験ができることに大感動でした。

 御蔵島は、雨が多いのも特徴のひとつです。そのため、巨樹の森など緑豊かな景観、池や川、滝といった水の景観を満喫できるトレッキングコースがいくつもあります。海と山両方で、稀有な自然を楽しめる島です。

 御蔵島は船の欠航率が高いので、ヘリコプター(東京愛らんどシャトル)で伊豆諸島のダイナミックな景観を楽しみながら島に渡るのも一興といえます。

 3つ目のオススメは、八丈島です。

八丈島の八丈富士(画像:東京島しょ振興公社)



 伊豆諸島は小さな島が多いので、宿や飲食店が少ないのですが、八丈島は大きな島で民宿からリゾートホテルまで宿のチョイスが広く、食事も郷土料理のほかに、フレンチやイタリアン、古民家カフェなどもあって、さまざまに楽しめます。

 また、八丈島は温泉パラダイス。海を望む絶景露天風呂や秘境感たっぷりのひなびた風呂、檜風呂などバラエティーに富む7つの町営温泉があります。八丈富士と三原山という全く性質の異なるふたつの山歩きを楽しめ、双方ダイナミックな景観を満喫できるのも魅力のひとつ。釣りやダイビングなど海のアクティビティも揃い、文化的な観光要素も多く、何度行っても発見のある島です。

 そのほか、露天風呂やダイビングスポットで有名な式根島、新日本百名山の天上山を抱く神津島、島丸ごと火山博物館のような三宅島、美しい海とサーフスポット満載の新島、絶海の孤島ゆえの独特の文化や景観を持つ青ヶ島、とどこも島それぞれにいい所があります。

 ウミガメやクジラ、イルカといった野生動物と高い確率で遭遇できる母島と御蔵島、多彩な観光要素をもつ八丈島を「3選」に挙げましたが、できればすべての島を網羅してみてください。いかに東京島しょ部が「宝島」であるかわかると思います。

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