渋谷にかつて「お城」があった! 駅から500m、跡地にはいったい何が
2019年7月7日
知る!TOKYO文化の発信地として知られる渋谷、そんな渋谷にかつてお城があったことをご存知でしょうか。場所が気になるそこのあなた、フリーライターで、古道研究家の荻窪圭さんがあなたをご案内します。
ポイントは「並木橋」にあり
では古道散歩の流儀に従って、当時の道を使って渋谷城跡へ行ってみましょう。
渋谷駅南口を出たら、駅前再開発真っ只中の歩道橋で国道246号(青山通り・玉川通り)を渡り、南に向かいます。明治通りは味気ないので、渋谷川沿いに作られた渋谷ストリーム(渋谷区渋谷)を歩くのがおすすめ。
渋谷は「渋谷川」が作った谷で、ちょうど谷底にJRの駅があるのです。渋谷ストリームの入口には小さな橋があります。これは稲荷橋。実はここ、「田中稲荷」という稲荷神社があったのです。
調べてみると、今の国道や首都高のルートに被っていたため、金王八幡宮の脇に移されていました。今や名前だけが稲荷があったことを教えてくれます。こういう名前を見て、「ってことは、昔この辺に稲荷神社があったのだな。今はどうなってるんだろう」と疑問に思いはじめると、歴史散歩は我然面白くなります。
渋谷川沿いの渋谷ストリームを終点まで歩くと並木橋です。ここがポイント。

並木橋の明治通り側に「鎌倉道」と書かれた解説板が立っており、「この右手の細い道を、古くから鎌倉道と呼び、源氏が鎌倉に幕府を開いて以来、東日本の各地に設けた軍道のひとつといわれています」と書いてあります。
鎌倉時代に、鎌倉と各地を結んだ道のひとつが渋谷を通っていたのですね。渋谷城もその文脈で捉えるといいでしょう。
今は八幡通りと呼ばれてますが、この道を西へ向かうと代官山を抜けて目黒川を渡り、さらに二子玉川か丸子のあたりで多摩川を渡って鎌倉へと通じてました。逆に東へ向かうと、坂を上り、渋谷城の前に出ます。
明治通りの交差点を渡って渋谷城へ向かいましょう。坂を上りきったあたりに「金王神社前」という交差点があります。ここをまっすぐ行くとやがて国道246号(青山通り。江戸時代は大山街道、矢倉沢往還などと呼ばれていた)に合流します。その先の鎌倉街道は原宿を抜け(鎌倉街道の宿があったのが語源という)、千駄ヶ谷の鳩森八幡神社前を通って北に向かい、岩淵で荒川を渡ってました。
交差点を左折して坂を少し下りた先に見えるのが金王八幡宮です。少しだけ坂を下るのは、かつてそこに黒鍬谷と呼ばれていた小さな谷があったから。この谷と渋谷川が渋谷城の天然の掘だったと考えられてます。そして階段を上って鳥居をくぐるとそこは金王八幡宮境内にして渋谷城跡というわけ。鎌倉街道を抑える交通の要衝で守りやすく監視しやすい高台という中世の城の立地条件にすごく合致しています。
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