都内に潜む「階段路地」 高低差が生む、その「妖しさ」に魅せられて

まちの歴史やそこで暮らすひとびとの文化が詰まった空間、それが「路地裏」です。今回は、東京に現存する「階段路地」の魅力や、その文化的な役割について、法政大学大学院政策創造研究科の増淵敏之教授が解説します。


コミュニティ空間としての「階段」に注目

 しかし近年では屋内外に人工的なアプローチで階段路地を創る事例も目につきます。これはこれで大変興味深いものです。

 筆者の強く印象に残っているのは、東京ではなく、札幌です。それはJR札幌駅と大通を結ぶ地下歩行空間と結節した複合ビル「sitatte sapporo(シタッテ サッポロ)」のステップガーデンという木製の階段です。

 階段下にはカフェがあり、ひとびとはそこでコーヒーなどを買い、階段に腰かけてくつろいでいます。友人との会話に花を咲かせている人の姿も見かけます。

 東京でも最近は「東京ミッドタウン日比谷」のステッププレイス、「虎の門ヒルズ」のステップガーデン、汐留の「日テレタワー」の大階段などが代表的なものですが、どちらかというと路地というほど狭いものではありません。表参道ヒルズの吹き抜け大階段や池袋「WACCA(ワッカ)」1階ステージや、意外と階段に拘った空間が増えてきているのに少々驚きます。

 やはり映画『ローマの休日』で名を馳せたローマのスペイン広場の影響なのでしょうか。教会へと続くトリニタ・デイ・モンティ階段はさすがに路地とはいえませんが、映画の中で、オードリー・ヘップバーンがジェラートを食べたこともよく知られています。

『ローマの休日』でオードリー・ヘップバーンがジェラートを食べたトリニタ・デイ・モンティ階段(画像:写真AC)

 これからの東京の再開発の中で、ひとびとのコミュニティ空間としての階段は、今後もさらに増えていくのかもしれません。もちろん先に挙げた階段のようにバリエーションも豊かになっていくことでしょう。そしてまたまち歩きの楽しみが増えることになるかもしれません。

 さて最後に筆者にとっての階段路地の入口は、例えば「下北沢ガレージ」というライブハウスへの階段だったりします。ミュージシャンたちがそこで会話しているさまを見てインスパイアされたものがありました。

 路地はさまざまなところに存在します。先述した札幌などは計画都市ですから、都心部に路地めいたものはほとんどありません。やはり雑居ビルのライブハウスに続く階段を当時、筆者は「垂直の路地」と呼んでいました。

 路地は開発によって、姿を消したりもしますが、また開発によって新たに再生産されるのではないでしょうか。だから、路地を巡るまち歩きは面白いのです。


【写真】村上春樹の世界を歩く、渋谷の階段路地

画像ギャラリー

/wp-content/uploads/2020/06/190610_kaidan_03-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2020/06/190610_kaidan_04-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2020/06/190610_kaidan_05-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2020/06/190610_kaidan_06-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2020/06/190610_kaidan_01-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2020/06/190610_kaidan_02-150x150.jpg

New Article

新着記事

Weekly Ranking

ランキング

  • 知る!
    TOKYO
  • お出かけ
  • ライフ
  • オリジナル
    漫画