近年話題の「年の差婚」、離婚理由に「更年期」挙げた年下夫も…… 結婚前に話し合うべきこととは?

  • ライフ
近年話題の「年の差婚」、離婚理由に「更年期」挙げた年下夫も…… 結婚前に話し合うべきこととは?

\ この記事を書いた人 /

高草木陽光のプロフィール画像

高草木陽光

夫婦問題カウンセラー

ライターページへ

都内で夫婦問題のカウンセリングを行う「HaRuカウンセリングオフィス」には、「夫が年下」の夫婦からの相談が増えているといいます。その相談内容とはどのようなものでしょうか。また、年の差カップルが結婚前に意識すべきことは? 夫婦問題カウンセラーの高草木陽光さんが解説します。

「夫が年下」カップルからの相談、過去5年で「2倍」に

 タレントの磯野貴理子さんが24歳年下の夫と離婚したことが話題です。

夫婦問題カウンセラーの筆者のもとには、「夫が年下」の夫婦からの相談が増えている(画像:写真AC)



 私は「HaRuカウンセリングオフィス」(港区南青山)の夫婦問題カウンセラーとして、さまざまなカップルの相談にのっています。カウンセリングルームは青山にありますので、必然的に東京やその近郊で暮らす方が相談にいらっしゃる方が多いです。

 その経験から、ここ数年「夫が年下」のカップルからの相談が増えていると感じます。統計をとったわけではありませんが、感覚として5年前の2倍ほどでしょうか。相談にいらっしゃるのは年下の夫である場合もあれば、年上の妻である場合も。おふたりでいらっしゃるケースもあります。

 これも主観ですが、夫が年下のカップルが増えた理由としては、結婚の条件として重視されてきた、女性が男性に求める経済的な条件(希望年収など)が、以前に比べて緩くなってきたことや、実年齢よりも若く見える素敵な女性が増えてきたことなどがあるような気がします。

「妻を女性として見ることができなくなった」

 夫が年下の場合、夫婦関係が不仲になる理由として典型的なのは、夫が妻を女性として見ることができなくなり、夫も妻もその状況を不満に感じるケースです。

 若いときは年上の女性を「頼りがいがある」と感じて好きになり、結婚に至るのですが、自分もある程度の社会人経験を積んで働き盛りになったとき、妻は中年期。体力が落ち、体型が変わったり、生理が終わったりする頃です。そんなときに、会社で年下の女性に頼りにされたりすると、ころっと「かわいいな」などと思ってしまうのです。

 ショウさん(仮名・36歳)の場合もそうでした。25歳の時に入社した会社で出会ったのが、後に奥さまとなる10歳年上のミカコさん(仮名)。もともと「しっかりしている女性」がタイプだったショウさんは、仕事をバリバリとこなし、面倒見のよいミカコさんにすっかり夢中に。ショウさんが26歳、ミカコさんが36歳のときに結婚に至ったといいます。

 結婚後ふたりの子どもに恵まれ、ミカコさんは専業主婦になりました。それから10年、ショウさんから私のところに「離婚がしたい」と相談の申し込みがありました。

 離婚を希望する理由は「妻が更年期になったから」。

 更年期になった妻を女性として見ることができなくなり、会社の若い女性と「いい感じ」になっている。けれども、妻に非はないので、うまく離婚できる方法がないか悩んでいる、というのです。

 なんとも自分勝手であきれた理由ですが、実はこういうケースは珍しくありません。すっかり若い女性との未来に舞い上がっている様子のショウさんに、私は離婚することで失われる「お金」の話をしました。
 
 離婚する場合、まだ小学生のお子さんが成人するまでの養育費や、結婚してからふたりで築き上げてきた財産を分ける財産分与。場合によっては、慰謝料請求されるかもしれないこと。まず別居するとしたら、家賃など2重の生活費(婚姻費用)が必要になること。そして、お子さんたちと自由に会えなくなってしまうかもしれないことなど。

 これらを支払っても離婚や別居をしたいのか。そもそも支払えるのか――。

 お金の計算をして現実が見えた様子のショウさん。初めの頃の興奮はウソのように冷静になっていき、結局、奥さまと、そして、ふたりのお子さんとの生活の継続を選びました。

結婚する前に話し合っておくべきこと

 子どもやお金のことなど、「理想」ではなく「現実」を見据えて話をすることは、いわゆるウエディングハイ状態の結婚前にも有効です。

現実的な話のすり合わせが大切(画像:写真AC)



 結婚する前、たいていのカップルは「周囲への報告や結婚式をどうしよう」といったことばかり考えがち。そんなことよりも話し合っておくべきなのは、「家族」「住まい」「お金」「仕事」「家事分担」のことです。

●家族のこと
子どもは何人ほしいか。もし授からなかった場合はどうするか。親の介護が必要になった場合はどうするか。将来的に親との同居を考えているか。

●住まいのこと
どこに住むか。持ち家か賃貸か。

●お金のこと
どちらが管理するか。借金はあるか。5年後、10年後までにどのくらい貯金をするか。

●仕事のこと
結婚後、仕事を続けるか辞めるか。子どもが生まれてからの働き方。

●家事分担のこと
お互いどのようなサポートができるか。得意な家事、苦手な家事。分担の仕方。

 未来のことは分かりませんし、考えや状況が変わることもあります。それでもこういった話のすり合わせをしておくことでお互いの価値観が見え、結婚後の「こんなはずじゃなかった」という違和感や失望感を防ぐことができるのです。

 数十年先のことまで考えられない場合は、せめて3年後のことを、ふたりで具体的に想定してみるだけでも、ずいぶんと違います。「あ、この人、こんなことにこだわるんだ」「こういう考え方をしているんだ」と、お互いの人間性が見えてきます。

 年の差があってもうまくいくカップルは、お互いに包容力があり、自立しているケースが多いです。年齢のことだけでなく、お金のことや家族のことなど、ほのぼのと受け止める余裕があります。

 もちろん、結婚前に家族、住まい、お金、仕事、家事分担のことについて話し合っておくべきなのは、年の差カップルに限ったことではありません。ただ、年の差があるほど、価値観にも差があることが多いもの。年の差があるほど、結婚前に「ふたりの将来の生活」について、具体的に話し合っておくべきだといえるでしょう。

関連記事