カネカ炎上に潜む、「父親の『形だけ』子育て」という本質 保育士経験者が見た現実とは

カネカの元従業員の妻が「夫が育休復帰直後に転勤を言い渡され退職した」ことをツイッターで告発し、同社に批判が集まっています。この件について、保育園で勤務経験があり、自身も子育て中のライター 秋山悠紀さんが見解を語ります。


子育てに参加してこなかった後悔が向かう先

 タイミングを同じくして現在、取り沙汰されている中高年の引きこもり。あくまでも個人的な考えですが、この問題にも、父親による希薄な子育て参加の影を見てしまいます。

男性も板挟みになっている(画像:写真AC)

 今の中高年の親世代は70~80代。日本の高度成長期を支えるため、家庭を顧みずに子育ては母親にすべて任せ、仕事に没頭した人生を歩んできた世代です。

 そんな父親とほとんど触れ合えなかった子どもは、心のどこかに寂しさをずっと抱え、“不在の父”によって、自分自身が父になって家族を作るイメージを持てずに大人になってしまった人もいるのではないでしょうか。

 もちろん、引きこもりになる要因がすべて父親との関係性とは限りません。
 
 しかし、人間の自我形成において親はあまりにも大きな存在です。「寂しい思いをさせられた」という強い孤独感や、家庭をないがしろにしてまで没頭していた“仕事”に対するネガティブイメージによって、なかなか仕事に就けずに引きこもってしまう人も少なくないと思うのです。

 そして当の父親もまた、仕事をリタイアして時間ができて初めて子どもと向き合おうとしても、どう接していいかわからない。子育てをしてこなかった罪滅ぼしとでも言わんばかりに、お金を出してあげることでしかコミュニケーションを取れない状態になってしまっていることが、今社会問題になっている「8050問題」(50代前後の引きこもりが長期化している子どもを、80代前後の高齢の親が養うが、病気や介護で生活が立ち行かなくなる問題)の要因のひとつだと思えてなりません。

子育てに参加したいのにできないジレンマを抱えるお父さんも多い

 子育て中の身としても保育園勤務経験者としても、父親が子育てに参加しない弊害は少なくないと感じます。そして、実は子育てにもっと参加したいのに、長時間労働を余儀なくされている働き方のためになかなか叶わないという、板挟みに苦しんでいる子育て世代のお父さんも、少なくないでしょう。

 今回のカネカの件は、企業側が取得推奨をうたっておきながら、実情を伴わない実績作りとも言える男性育休制度の存在が浮き彫りになりました。カネカに限らず、日本の多くの企業で同じような事態が現在進行形で起こっており、今後も起こり得ると推測されます。

 女性の多様な働き方が進んでいる一方で、男性の働き方がいまだに変わっていないことは、子育て家庭に大きなひずみをもたらしています。

 企業アピールのための名ばかりの男性育休制度はもちろん、育休復帰後の男性の働き方自体も見直さない企業が社会にどのような影響をもたらしているのか。そしてそうした企業はもうこれからの時代に社員から選ばれずに生き残っていけないのだと、企業側が早く気付かなければならないのではないでしょうか。


2019年「たまひよ 理想のパパランキング」 杉浦太陽、りゅうちぇる、1位は……?

画像ギャラリー

/wp-content/uploads/2019/06/190606_kaneka_03-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/06/190606_kaneka_04-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/06/190606_kaneka_05-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/06/190606_kaneka_01-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2019/06/190606_kaneka_02-150x150.jpg

おすすめ

New Article

新着記事

Weekly Ranking

ランキング

  • 知る!
    TOKYO
  • お出かけ
  • ライフ
  • オリジナル
    漫画