都内最大級の巨大神輿が見られる「鳥越祭」、周辺グルメも外せない!

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都内最大級の巨大神輿が見られる「鳥越祭」、周辺グルメも外せない!

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川崎晴代

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台東区鳥越にある鳥越神社で、毎年6月に行われる鳥越祭。「千貫神輿(せんがんみこし)」と呼ばれる、都内最大級の巨大神輿が有名です。下町育ちのライター・川崎晴代さんが、鳥越の街と鳥越祭の魅力を紹介します。

都内最大級の神輿の重さは約4トン

 都営浅草線「蔵前駅」から歩いて約5分の鳥越神社(台東区鳥越2)。651(白雉2)年創立と伝えられる、伝統ある神社です。ここで毎年6月に行われる鳥越祭では、各町会が誇る町会神輿(みこし)と、「千貫(せんがん)神輿」と呼ばれる本社神輿が下町の風景のなかを威勢良く進みます。

鳥越祭の様子(2017年、川崎晴代撮影)



 鳥越祭の魅力は、なんといっても、圧倒されるほど大きな本社神輿でしょう。この本社神輿は約4トンの重量を誇ることから千貫神輿と呼ばれるようになりました。「貫」とは、重さの単位のことで、1貫は約3.75キログラム、千貫は約3750キログラム(約4トン)です。同じく神輿の迫力で有名な浅草・三社祭の神輿が1トンですから、その4倍と考えるとかなり重たく、大きいことが分かります。

「大きく重い」ことを表して、ほかにも千貫神輿と名乗る神輿は存在しますが、戦前より都内随一の重さを誇る鳥越祭の大神輿は、「元祖」千貫神輿といわれています。

 鳥越祭は、地元の人々に愛されているだけでなく、担ぎ手にも大人気の祭りです。下町出身で、都内のいくつもの神輿を担いだことがある筆者にとっても、鳥越祭の千貫神輿は特筆すべき存在です。

 ただでさえ大きく重たい神輿なのですが、その大きさに対して担ぎ棒が太く短いため、神輿を担ぐ人数が限られてしまいます。つまり、ひとりにかかる重さが大きいので、担ぎ手は気合いを入れて担ぐ必要があるのです。

 高校生の頃に初めて担いだ時、神輿の大きさもさることながら、腕が回りきらないほどの太い担ぎ棒と、肩にかかるずっしりとした重さに驚きました。しばらく肩が痛くて、学校で友達に呼ばれた時に肩を叩かれて悲鳴をあげた思い出があります。下町の子供の間では、お祭りの後にふざけて肩を叩くのがおきまりの遊びになっています。

見学のポイント

 2019年の鳥越祭は6月8日(土)と9日(日)に行われます。千貫神輿が楽しめるのは、2日目の9日です。例年日曜日の朝6時半頃に本社神輿の宮出しが行われます。朝の静かな空気の中を、担ぎ手の掛け声とともに神輿が鳥居をくぐり神社を出て行く様子は、なんとも言えない荘厳な雰囲気があり、早起きする価値のある見どころです。

 その後、猿田彦(天狗)が先導し、千貫神輿が町内を渡御します。見学者は下町の風景の中を威勢良く進む大神輿を、間近で見ることができます。

本社神輿の宮入りの様子(2017年、川崎晴代撮影)



 そして、一番のにぎわいを見せるのが祭りのクライマックス、夜の宮入りの時間です(毎年21時ころ)。日が暮れた後、神輿の提灯に灯がともり、熱狂的な担ぎ手とともに神輿が神社に近づいて来る情景は、とても幻想的で迫力があります。暗いなか、提灯を揺らしながら神輿が進んでいくので「お化け神輿」との別名もあるそうです。

 ただし、宮出し・宮入りの時間帯は担ぎ手の数も、見物の人の数もピークに達するので、安全確保には注意が必要です。良い位置で見たい場合は、早めに神社付近の蔵前通りの歩道へ行き、前の方を陣取りしておくのがおすすめ。宮出し・宮入りの30分前には、周囲はもう人でいっぱいです。なお、宮出し・宮入りの時間帯は神社前の蔵前橋通りで一時交通規制が敷かれます。

 鳥越神社の最寄り駅は都営浅草線「蔵前駅」ですが、JR浅草橋駅や、都営大江戸線「新御徒町駅」からも徒歩10分ほどでアクセスが可能です。

そもそも「鳥越」ってどんな街?

 鳥越は、隅田川からほど近いロケーションにあり、下町らしい昔ながらの雰囲気が残る比較的静かな街です。その魅力は鳥越祭だけではありません。実は、都心からのアクセスも良く、クチコミサイトなどで高評価の飲食店が多いという一面もあります。

 蔵前駅から10分ほど、鳥越神社の近くにある「おかず横丁」(台東区鳥越1)は、地元の人々に愛される商店街です。200メートルほどの通りに総菜や日用食料品の店が並びます。

 いずれも下町情緒あふれるすてきなお店ばかりですが、そのなかからいくつか筆者のお気に入りを紹介します。

 おかず横丁を入ってすぐ、元精肉店の焼豚屋さん「松屋」(同)は、土曜日のみの営業ながらテレビや雑誌で度々紹介される有名店です。名物は国産豚肉を使用した「謹製焼豚」(税込1000円~2500円ほど。目方による)。柔らかくて脂身も美味しい焼豚は手作り感がほっこりとするやさしい味です。

 その向かいの和菓子店「港家」(同)では、夏季限定でふんわりとやわらかい氷のかき氷が味わえます。価格は150円からという驚くほど良心的。自家製のあずきを使った和菓子店ならではのかき氷も味わえます。

「居酒屋まめぞ」(同)は、テレビ東京の深夜ドラマ「孤独のグルメ」でも紹介された人気店。築地や富山県の魚津漁港から直送した魚や、宮崎産の鶏など産地にこだわった料理を、手ごろな価格で楽しめます。名物は夜限定の「カツサンド」(900円)。分厚い豚ロースのとんかつと、特製ソースの相性が抜群です。ただし、15席ほどの小さなお店のため、満席のこともしばしば。カツサンドはテイクアウト(要予約)が可能です。

 蒸し暑い天気が続く6月。千貫神輿の迫力を間近に感じる鳥越祭や、人情あふれる鳥越の下町グルメを楽しんで、ジメジメした気分を吹き飛とばしてみてはいかがでしょうか。

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