恋はいつの時代も美しい 令和で話題「万葉集」、現代女性も共感必須?

新元号「令和」の出典となったことで、関心が高まる『万葉集』。高桑枝実子さん(大学非常勤講師、日本古代文学専攻)が、その魅了と読み方を解説します。現代の私たちにも共感できる歌がたくさんあるようです。


1000年の時を超えて共感! 切ない恋心の歌

 情熱的な相聞歌を数多く詠んだことで知られる歌人に、大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)という女流歌人がいます。

切ない女心は、1000年前も今も変わりません(画像:写真AC)

 冒頭に出てきた大伴旅人の異母妹にあたる彼女は、若い頃、都の最有力貴族である藤原氏の四男坊、藤原麿(ふじわらのまろ)と恋愛関係にありました。次は、「あなたが恋しい」という趣旨の歌を贈って来た麿に対して、彼女が答えた歌です。

  佐保河の小石ふみ渡りぬばたまの黒馬の来る夜は年にもあらぬか(巻四・525)

 これは、「佐保河の小石を踏み渡って、宵闇(よいやみ)の中をあなたが乗った黒馬が来る夜は、年に一度でもあってほしいものです」というような意味。

 当時の男女の恋愛は、夜に男が女の家に通ってきて朝に帰るスタイルでした。佐保河は彼女の家の近くを流れる川で、この歌では七夕伝説の天の川と重ねられています。当時の馬は庶民には手の届かない貴重な乗り物で、中でも黒馬は足が速く高級でした。黒馬に乗って来る男は、今で言えばポルシェに乗って来るお金持ちの御曹司みたいなイメージです。

 要するに「七夕の彦星みたいに年に一度でもいいから、私のところに来てほしい」と男に訴えた彼女の歌からは、プレイボーイでなかなか逢いに来てくれない御曹司の訪れを待ち続ける彼女の辛い恋がうかがえます。

 彼女には、次のような相聞歌もあります。

  恋ひ恋ひて逢へる時だに愛(うるは)しき言尽くしてよ長くと思はば(巻四・661)

 これは、「長く恋い続けてやっと逢えた、その時だけでもせめてうれしい愛の言葉を尽くしてください。この恋を長くとお考えでしたら」くらいの意味。長く待ち続けてようやく逢えた時ぐらい、上辺だけのきれい言ではなく、心からの愛の言葉をありったけささやいてほしい……という彼女の気持ち、現代の私達にもすごくよく分かりますよね。

 この他にも、『万葉集』には現代の私達が共感できる歌がたくさん収められています。今まで「難しそう」と敬遠していたあなたも、現代語訳付きの『万葉集』の本を手に取ってページをめくってみてください。きっと、あなたの心に響く歌が見つかるはずです。


「令和」ブーム、書店にも特設コーナーが

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