チャーハンに付いてくるスープと「ラーメンスープ」は同じなの? 都内の町中華に聞いてみた

町中華などでチャーハンを頼むと、たいてい付いてくるあの茶色いスープ。あれはいったいどのように作られているのでしょうか。食べ歩き評論家の下関マグロさんが解説します。


番組スタッフから聞かれた疑問

 先日放送された「マツコ&有吉 かりそめ天国」(テレビ朝日系)で、MCのふたりがチャーハンに付いてくるスープについて、

「付け合わせというより、準主役だ」

と話していて、盛り上がっていました。

浅草「ぼたん」のチャーハン(750円。税込み)。ちゃんとスープが付いてくる(画像:下関マグロ)



 実はこのオンエアの数日前、番組スタッフから、

「町中華のチャーハンや定食に付いてくるあの小さなスープは、ラーメンスープと同じなのか」

と、メールで問い合わせがありました。筆者(下関マグロ)は「大ざっぱに言えば同じ」と答えました。てっきり番組内のテロップで使われると思っていましたが、オンエアを見たら出ていませんでした。まぁ、よくあるパターンです(笑)。

都内の町中華に聞いてみた

 そこであらためて、チャーハンに付いてくるスープとラーメンスープは同じなのか、知り合いの町中華の経営者に聞いてみることに。まずは、あさひ(台東区浅草)。

台東区浅草にある「あさひ」(画像:(C)Google)

 フェイスブックのメッセージで聞くと、こんな答えが返ってきました。

「全く一緒です。あさひでは『小スープ』という名前で出ています。調味料の割合も、鶏油(チーユ)の割合も一緒です」

 あさひは鶏油を使っており、小スープと呼んでいるようですが、お店によっては、清湯(チンタン)スープと呼んでいるところもあります。清湯スープはラーメン用の透き通ったスープを指すので、このことからも、ふたつのスープは同じだと言えるでしょう。あさひは取材時、コロナ禍のため休業中でした。9月18日(土)に再開されるそうです。

基本「同じ」なのか?

 次は玉屋(北区十条仲原)。こちらもコロナ禍で休業中。再開はいつになるのか、ショートメッセージサービスで併せて聞いてみました。

「チャーハンのスープは同じですね。緊急事態宣言が明けたら営業再開の予定です」

とのことでした。新型コロナウイルスは、町中華にも大きな打撃を与えているようです。

北区十条仲原にある「玉屋」(画像:(C)Google)

 実は以前も、町中華にいろいろ聞いたことがあるのですが、そのときも「同じ」という答えばかりでした。ただ例外的に、チャーハンの付け合わせがみそ汁のところもあります。町中華は自由なのです。

 というわけで、現在営業しているお店へチャーハンを食べに行ってきました。

1948年創業「ぼたん」のラーメン

 東武伊勢崎線浅草駅から歩いて1分のところにある、1948(昭和23)年の創業のぼたん(台東区花川戸)に足を運びました。

台東区花川戸にある「ぼたん」(画像:下関マグロ)



 注文したのはチャーハン。早速、3代目店主の川瀬茂高さんに聞いてみました。すると「同じです」との答えが返ってきました。

 後日、スープを作っているところを見せてもらおうと再びお店へ。指定されたのは月曜日の午前9時半。お店に行くと、店主がちょうど豚ガラを洗っているところでした。

 町中華のラーメンスープを構成する二大要素は、スープと醤油ダレです。鶏ガラはすでに洗ってずんどうに入れたそう。ちなみに「洗う」は、ガラを煮こぼして汚れを取り除く作業です。

 作業を見ていると、スープの仕込みで出た野菜の切れ端や干しシイタケの戻し汁など、さまざまなものがずんどうに投入されています。

もうひとつの決め手は「醤油ダレ」

 町中華でさまざまな用途に使われるのは、スープと醤油ダレです。醤油ダレとはチャーシューを作るときに使う煮汁のこと。

「スープよりも神経を使うのが醤油ダレですね」

と3代目。

 大きめのボールに醤油を入れて火にかけます。スープを少し入れ、ねぎの青い部分、しょうがをスライスしたものなどを入れていきます。

チャーシューは醤油で煮た後、再びスープの中に入れて煮るそう(画像:下関マグロ)

 さらに、豚肉のブロックを入れて1時間ほど煮ます。使っているのはバラ肉ともも肉。ラーメンには脂の多いバラ肉、冷やし中華には脂の少ないもも肉を使っているのだそうです。

小さなスープの作り方

 筆者が「醤油ダレは今日の分ですか」と聞くと、

「いえいえ。ひと晩寝かすのでこれは明日以降使います」

とのこと。ちなみに残ったものと併せる継ぎ足し方式だそうです。

 チャーシューは醤油ダレで煮た後、さらにスープに入れて煮ます。その理由は「よくわかないけど、初代からそういうやり方なので」とのこと。こちらのお店、創業時は普通の食堂だったそうで、ラーメンは創業時から出しているのだそうです。

 それでは、ラーメンを作っていただきましょう。作ってくれるのは3代目の息子さんで、4代目の川瀬二朗さん。まずはお湯にラーメンの麺を投入し、タイマーをセット。それから丼に醤油ダレを注ぎます。

ラーメン作りの最初は丼に醤油ダレを入れる。けっこうな分量(画像:下関マグロ)



 丼に醤油ダレを注いだら、そこへスープを注入。ちょうどタイマーが鳴りました。ざるをお湯から上げて、しっかり湯切りをした麺を丼へ。ていねいに麺を持ち上げてセットします。具材をのせて出来上がり。実においしそうです。

 そして、チャーハンに付くスープを作ってもらいました。ラーメンは丼の4分目くらいまで醤油ダレを入れていましたが、チャーハン用のスープは3分目くらい。若干少ない感じです。

「ここに麺を入れるとたぶん、ちょっと薄いと感じると思いますよ」

と4代目。それでは、それぞれ味見をしてみましょう。

 まずは、チャーハンに付いてくるスープから。ひとくち飲むとやさしい味です。もうひとくち飲むと、しょうがなどの香りが漂いました。ちなみにぼたんでは、ご飯ものや焼きそばなど、すべてにこの小さなスープが付きます。

「チャーハンならチャーハンが主役ですから、それを引き立てるようなスープになっています」

「ストロング」と「優しい」の違い

 次にラーメンスープをいただいてみます。ラーメンにはチャーシュー、メンマ、もやし、わかめが乗っています。チャーハンのスープにも入っていますが、ラーメンにもたっぷりの細かく刻んだねぎが入っています。

 ひとくち飲むとガツンとくるしょっぱさ。3代目いわく、

「ラーメンは麺が入りますし、具材も乗っかっていますから、スープの味は強くなっています」

 なるほど、麺をすすってみるとちょうどいい濃さです。

右が3代目の川瀬茂高さん、左が4代目の二朗さん(画像:下関マグロ)



 スープを飲み比べましたが、味の濃さ以外はほぼ同じ。ラーメンは「ストロングスタイル」、チャーハンに付くスープは「優しい感じ」です。今回、あらためてチャーハンのスープとラーメンスープは同じなのかを検証してみました。

 そういえば筆者は初めて行く町中華でチャーハンをよく注文するのですが、それは付け合わせのスープを飲めば、ラーメンスープの味もわかるからです。

 みなさんはチャーハンに付いてくるスープは好きですか? 筆者は大好きです。ひょっとしたら、ラーメンスープよりも好きかもしれません。


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