五輪延期と新型コロナで大打撃 時間が止まった「お台場」は今

新型コロナ禍で都内の観光地を訪れる人たちは激減しています。そんななか、特に大きな影響を受けているのがお台場です。旅行ジャーナリストの内田宗治さんが現地を歩きました。


工事中のお台場海浜公園と潮風公園

 新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言で、都内の繁華街はどこも閑散としています。その中でも、特別に大きな影響を受けている地域があります。お台場です。

 お台場ならではのダメージは、2020年東京オリンピック関連です。

 お台場周辺はお台場海浜公園(港区台場1)でトライアスロン(マラソンスイミング)が、潮風公園(品川区東八潮)でビーチバレーが行われます。いずれも屋外競技で、競技スペースや観客席が設けられます。

 両公園はつながっていて、海沿いに端から端まで歩くと約3kmもの道のりになります。

 特にお台場海浜公園は浜辺でさまざまに過ごす人が多いのですが、オリンピック会場工事のために2019年12月から段階的に敷地を区切って、立ち入り禁止にしてきました。

お台場海浜公園の大半は工事で立ち入り禁止。2020年4月撮影(画像:内田宗治)



 この4月では水上バス乗り場付近を除いて、両公園のほぼ全域を閉鎖しての工事となっています(このほか青海アーバンスポーツパークが会場)。

他では味わえないお台場の魅力

 お台場にはいくつかの魅力があります。

 ひとつは、こうした海に面した公園です。お台場海浜公園には、浅草や日の出桟橋(港区海岸)からの水上バスも発着します。東京港をまたぐレインボーブリッジ越しに見る都心のビル群の眺めは、他では味わえないものといえるでしょう。

 もうひとつは、デックス東京ビーチ(同区台場1)、アクアシティお台場(同)などショッピングモールの存在です。

レインボーブリッジを見渡せるデックス東京ビーチ付近のデッキ。2020年4月撮影(画像:内田宗治)

 モールの中にはデッキや窓辺から港の眺めがいい飲食店や、東京ジョイポリス、レゴランド・ディスカバリー・センター東京など屋内型テーマパークなども入り、同地ならではの魅力が多くあります。

ほとんど見えない人影

 海辺の公園というお台場の魅力の大きなひとつが、新型コロナウイルスの流行とは関係なく、期間限定ですが楽しめなくなっていました。「2020年東京オリンピック成功のため」と地元ではなんとか我慢していたのです。

 そこへ、新型コロナウイルスと2020年東京オリンピックの延期が襲ったわけです。その結果、お台場の上記ショッピングモールは4月8日(水)から臨時休館となってしまいました。

 お台場は、強烈なダブルパンチを食らった形になりました。

 4月中旬、用事があってお台場を訪れたとき、普段にぎわっているショッピングモールのデッキやフジサンケイグループの企業が入るFCGビル(港区台場2)前の広場、いつも記念写真を撮る人でひしめく自由の女神像の前など、どこも人影がほとんどありません。これまでまったく見たことのない光景でした。

フジテレビビル前の広場も閑散としている。2020年4月撮影(画像:内田宗治)



 お台場海浜公園とは道ひとつ隔てて、港区立港陽小学・中学校(同区台場1)があります。

 そこに通っている子どもたちなのでしょう、学校とマンションとに囲まれた住宅地によくあるような公園(お台場レインボー公園)で、そこだけが子どもたちでにぎわっているのが印象的でした。

東京国際クルーズターミナルの今

 さらに気になることがあります。

 政府が訪日外国人増による観光立国政策を進めてきた中、待望の施設が間もなくオープン予定の日を迎えます。ゆりかもめ「台場駅」のひとつ隣駅、東京国際クルーズターミナル駅(2019年3月船の科学館駅から改称)のすぐ近くにできる東京国際クルーズターミナルの供用開始です。

完成間際の東京国際クルーズターミナル。2020年4月撮影(画像:内田宗治)

 予定では最初に着岸するのは7月14日(火)、最大級のクルーズ船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ号」。16万9379t、全長347m、乗客定員4246人、乗組員数1551人という超巨大な豪華船です。

 新型コロナ患者が多数出て横浜港に停留したダイヤモンド・プリンセス号が11万5875t、全長290mですから、それよりも大型です。

東京港の致命的な欠点

 これまで東京港には致命的な欠点があると言われてきました。

 都心近くの晴海客船ターミナル(中央区晴海)などへは、レインボーブリッジが障害となり、ダイヤモンド・プリンセス号、クイーンエリザベス号など超大型客船が入って来られないのです。

晴海客船ターミナルの外観(画像:写真AC)



 レインボーブリッジの橋下の高さが約52mなのに対し、スペクトラム・オブ・ザ・シーズ号は高さ60mを超えています。頭が橋につかえてしまい通れません(ちなみに横浜のベイブリッジは橋下高さ約56m)。

 そのためレインボーブリッジより外洋側で、最も都心に近い同地に国際クルーズ船ターミナルを造ったわけです。

新型コロナ後に期待される新たな魅力とは

 9月にクイーンエリザベス号(全長294m)など、11月までの4か月間に20を超える数の船が入港する予定でした。

 しかし今回のパンデミック(世界的大流行)で、キャンセルする船が続出しています。お台場周辺は、インバウンドの面でもショックを受ける形です。

オリンピックの会場工事で立ち入り禁止を告げる案内板。2020年4月撮影(画像:内田宗治)

 外出自粛が続くので、気晴らしにマイカーでお台場海浜公園へ直行すれば、「三密」にも遭遇せずに海辺で遊べて大丈夫と思いがちですが、現在それもできません。

 新型コロナを乗り越えれば、東京国際クルーズターミナルがにぎわい、潮風公園では首都高速湾岸線を海辺でまたぐ人道橋が供用開始できます。

 オリンピック後には当地で競技の「感動の記憶」が残るはずです。お台場にはこうした新たな魅力が加わることになります。早くその日が来るように節度ある行動を心がけたいものです。


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